【秒速5センチメートル】
- 鑑賞日 2025/10/11
- 公開年 2025
- 監督 奥山由之
- 脚本 奥山由之
- キャスト 松村北斗(SixTONES), 高畑充希, 森七菜, 青木柚, 木竜麻生, 宮﨑あおい, 吉岡秀隆
- あらすじ 東京の小学校で出会った遠野貴樹と篠原明里は、互いに心を通わせるが、卒業と同時に離れ離れになる。その後も手紙を交わす二人だったが、時間と距離が彼らの関係を少しずつ引き離していく。18年という時を、異なる速さで歩んだ二人の男女が、それぞれの人生の中で、初恋の記憶と向き合う姿を描く。
- ジャンル 日本映画 ドラマ ロマンス
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)
感想
剥がれたポストイットが桜になり、雪になって星空に。それが都会の夜で見えなくなってタイトルバック。のっけから、絵作りがとてつもなく綺麗です!
絵作りに関しては、全編文句なしです。特に冬と夏の描写は物凄く綺麗で、スクリーンで観る没入感がマシマシでした
ただ、内容については……アタシャねぇ!(笑)
女子と2人きりになろうもんなら、シドロモドロで逆に冷たい態度をとったり、後でそれを後悔して「キーッ!」となったりするのが僕の青春でしたが、主人公は「人と関わりたくない」とか言いつつ、次々と女性が頬を赤らめて惚れてくれる。僕も転校が多かったのに、どうしてこんなに差があるのか……うわーん!。
幼馴染至上主義への「ムキーッ!」と、森七菜さんの凄み
子供の頃から転校の多かった僕は、こういった「幼馴染至上主義」や「昔からの縁で結ばれるのが恋愛の理想」という型の物語を見ると、嫉妬でムキーッとなります(泣)
そんな中、ドラマ『ひらやすみ』の演技でも驚きましたが、森七菜さんが本当にすごい! あの恋する乙女の瞳、仕草、話し方。今の年齢になっても、あの頃の純粋な感情を移植できるなんて、本当に恐ろしい子!。そして、そんな彼女の猛アピールに一切反応しない遠野くん……君は解脱したお坊さんかい!?
「イニシエーション」を経て成長する女性と、立ち止まり続ける男性
幼少期のトラウマゆえ、人と深く関わることが苦手になった主人公・遠野くん。ですが、その整ったお顔と落とす影のせいか、終始女の子が寄ってきます(純粋に優しいですし)。それを突き放すわけでもなく付き合ったりもする、なんとも羨ましい環境です。
しかし、そんな「自分はそこまで興味ないけど、一緒にいてあげてるんだよ」というカッコいいスタンスの彼も、所詮は初恋が忘れられずウジウジしているだけの陰キャです。精神年齢がどんどん成長する女性たちは、彼を置いて次の恋愛に進んでいきます。
失恋の痛みがあったりはしますが、彼女たちはしっかりと遠野くんとの恋を「イニシエーション(通過儀礼)」として、次のステージに進むわけですね。あのベタ惚れだった森七菜ちゃん演じる彼女でさえ、「え〜、久しぶりに会ってみたかったな〜」くらいの醒めっぷりです(泣)。
「あの子はまだ僕のことが好きかも」なんて、全男がする妄想を真っ向からぶっ潰す現実を突きつけてきます。
精神年齢「幼稚園児 vs 還暦」の差
正直、ラストは「再会してハッピーエンド、ちゃんちゃん♪」で終わるだろうと舐めていただけに、素晴らしい展開でした。ちゃんと遠野くんも傷つき、成長するのね!と、思わず劇場で脳内拍手喝采です。
終始、遠野くんは自分の傷としか向き合っておらず、それによって傷つく周りの女性のことは一切眼中にありませんでした。30歳を迎えるまで、なんと未熟なことでしょう。
一方で、明里さんは幼少期の彼との思い出を大切にしつつ、その傷も力に変え、ちゃんと自分の人生を生きています。それだけでなく、「わざわざ会いに行かなくても、彼は立派に生きているはずだ」と、更なる大きな愛を持って彼を遠くから見守るのです。
もう、愛の次元が違います。幼稚園児と還暦のおばあちゃんくらい、精神年齢に差がありますよね。
脚本・鈴木史子さんが描いた「男の幼稚さ」
その大きな愛をもって、やっと遠野くんは一歩前に進み、少しだけ大人になるわけですが(とはいえ、今まで停滞しすぎていたのでまだまだ「ベベちゃん」ですが)、なかなかここまで男性の幼稚性を描けた恋愛映画はないのではないでしょうか。自分自身、本当にいつまでも中身が子供で、女性の大人の愛に成長させてもらったことは沢山あるので、骨身に沁みます。
綺麗な映像でパッケージされているので、なんだか綺麗な成長物語に見えますが、脚本の鈴木史子さんが作り上げた本質は、この「男の自己中心的な幼稚さ」のように僕は感じました。ほんと、いつまでもガキですみません。穴があったら入りたいです。
自分の黒歴史を思い出して面白かったし、スクリーンで観る価値のある、本当に綺麗な映画でした!
【ネタバレ注意:ラストによる、男の黒歴史ホラー】
いや、ほんと穿った見方で申し訳ないですが、あれだけ男性側だけが一人で盛り上がって、夜中に大雪の中、桜の木の下まで行ったけれど誰もいなくて。一方で女性側は普通に彼氏と日常を過ごしているってさぁ……。
これ、下手なホラー映画より怖いです。何より、男性ならおそらく誰しもが経験のある「黒歴史」だから、もうたまりませんよね。男性が抱える普遍的な未熟さが赤裸々すぎる…
新海アニメ版の「踏切の向こう側」の切なさが、実写版では「精神年齢の圧倒的な差」というリアルな痛みに変換されているのが、ビシビシ伝わる素晴らしい一作でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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