【機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ:キルケーの魔女】
- 鑑賞日 2026/02/04
- 公開年 2026
- 監督 村瀬修功
- 脚本 むとうやすゆき
- キャスト 小野賢章(ハサウェイ)、上田麗奈(ギギ)、諏訪部順一(ケネス)、斉藤壮馬(レーン)
- あらすじ マフティーによる閣僚暗殺計画が進む中、舞台はオーストラリアのアデレードへ。ハサウェイとケネス、それぞれの思惑が交錯する一方、ギギもまた自身の運命と向き合うことになる。シリーズ第2部。アデレード会議を巡る決死の攻防と、深まる三角関係、そして物語は衝撃の結末へと加速していく。
- ジャンル 日本アニメ ドラマ SF アクション
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)
感想
前回あんなレビューを書いたのに、なぜまた続編を観に来ているのか……自分でも不思議なのですが、なぜかまたハサウェイやギギ、あの空気感の中に身を置きたくて、気づいたら劇場に来ていました。
今回も前回と同じく、新規にはハードルが高く、恐らくストーリーの40%も理解できていないと思います。なのに、滅茶苦茶オモシロかったです!
なんだ、この稀有な映画体験は。いくら映像が綺麗でバトルに臨場感があるといっても、それだけで面白く思うわけがありません。僕なりに、ガンダム新規勢がなぜここまでこの物語に引き込まれたのか、その理由を分析してみようと思います。
癖になる「独特な台詞回し」と考察の楽しみ
まず一つ目は、あの独特な台詞回しです。 前回はこの超癖のある会話劇に面食らったのですが、今回はそれを求めてしまっている自分がいました。言外に何十もの意味を含ませる台詞のひとつひとつに、「どういう意味を伝えたいのか」と考察する楽しみを覚えてしまったみたいです。妙な倒置法も癖になってきました。
それらの癖セリフが、なぜかキャラたちへの愛着に繋がる不思議な感覚。なんでしょうね、この現象。古典文学を読み解いた快感に近いのか…?これ世界市場への翻訳、とてつもなく大変でしょうね。
「玩具」ではなく「兵器」としての質量とリアリティ
二つ目に、モビルスーツに興味のない僕が、今回の戦闘には超ゾクゾクしました。 前回、「ガンダムの工場だけの話が観たいな」という感想を書いたのですが、今回はそれに近い描写が沢山ありました。おかげで、ガンダムが玩具ではなくちゃんと「恐ろしい兵器」に見えたのです。モビルスーツに質量がしっかりと感じられました。
それは、エンジンの仕組みについての説明があったり、全画面ビジョンの一部がハッチだったり、「コックピットにはそういう入り方をするのか」「ミサイルを撃つときはそのボタンを押すんだ」といった、実在の兵器にありそうなトリビアを細かく見せてくれたことが大きいです。前傾姿勢ではなく、直立不動で浮いたまま前に進めるんだ、というのも初めて知りました。あれだけの巨体を垂直離陸させるなんて、すごいテクノロジーですね。
また、今まで観た数少ないガンダムシリーズは宇宙での戦いが多く、縦横無尽に飛び交う姿が「スーパーサイヤ人同士の戦い」を観ているようで置いてけぼりを食らっていました。でも今作は地球上での戦いだから、しっかり重力があってすごくリアルだったのです。
天地があるので傾斜もわかるし、バーニアを消したらちゃんと機体が落ちる。ミサイルを相手の進路上に先手を打って撃ち込んだり、チャフかフレアのようなものをばら撒いて避けたりと、まるで戦闘機のドッグファイトのようで、僕が知っている「現実の兵器の戦い」だったので超ワクワクしました。
さらに、戦闘中の「遠景」が多かったのも超僕好みです。 ガンダムはキャラものでもあるから、普通はコックピットでの人物アップが多くなりがちですし、プラモデルの宣伝のためにもモビルスーツのアップも見せなければならないでしょう。でも今作は超遠景で、星空が瞬く夜空の遠くの方で、閃光が走ったりバルカン砲のちらつきがあったり、一瞬の火花が散って真っ暗な大地に墜落したりといった、現代の戦争でも観たことのある描写がなされていました。これがものすごくリアルで面白いのです。
ガンダムが水に沈むところで、コックピットから海の境界線が見える演出。自分も乗っている気分になれて良かったですねえ。単独で飛べるガンダムに対し、僚機たちはタクシーのようなものに乗っていて燃費の差を視覚的に見せることでガンダムの優位性がわかって面白い。コックピット内でワーワー叫ばず、軍人たちが終始クレバーなのも素晴らしい、プロはそうでなくちゃ。
「性欲」と「生存本能」が宿す血肉のリアリティ
三つ目に、この物語には「ちゃんと性欲があること」が、僕が最も没入して観られた原因かもしれません。
性欲といっても、誰それとセックスしたいとか、誰々がセクシーだといった表層的なエロスではありません。人間の三大欲求のひとつである「生存本能」を、しっかりキャラクターたちに根付かせている感じです。
それぞれの行動原理に、生き物としての本能をちゃんと描いているから、動機や所作のひとつひとつにものすごいリアリティが宿ります。もちろんギギのわかりやすい官能描写もあるのですが、モブ隊員たちの服装や動き、目線といった細かいところに、泥臭い本能が現れていて、現実の僕らと地続きな血肉を感じます。
従来のアニメではこの部分を排除して物語を進行することがほとんどですが、根本にこの衝動や欲望を設定しているのは素晴らしいです。エヴァもそうですが、衣食住に加えて「人間の性」をしっかり描いている作品は没入感と感情移入度が跳ね上がります。特に戦場を描くのなら「生=性」なので、そこから逃げずに深く描けば描くほど、相対的に「死の重さ」もしっかり伝わります。良き!実に良き!
細部に宿る「神」
にわかの僕でも知っている、ブライトさんとミライさんが出てきたのはテンションが上がりました。ちゃんと初代ガンダムから地続きの世界なんだな、と感慨深かったです。
「地球に行って晩ご飯までに帰るよ」と言っていたので、あのコロニーから地球ってそんなに近いんですね。東京・福岡間くらいでしょうか?その辺の距離感とか知れるのもありがたい。ブライトさんがなんだかちっちゃい貧相な車に乗っていましたが、歴戦のヒーローなのに贅沢せず、相変わらず武骨で堅実ですねえ。アムロは殴ったくせに息子がテロ活動をしてる事に全く気付かない、溺愛パパ(笑)あの年齢で相当身体絞っているのもかっちょいい!第三部で息子とどんな対決をするのか楽しみです。
車に乗った瞬間に「ヒョローン」という音が鳴って全ディスプレイが点灯する演出なども、リアルでいいですね。架空の機械や建造物にリアリティを積み込む、そういう細かい描写が何百とあり、その積み重ねが今回僕がのめり込めた理由の一つだと思います。「神は細部に宿る」とはよく言ったものです。
今作のおかげでガンダムシリーズにハマれるかも⁉
物語自体の感想を語れないのが残念ですが、第1部と第2部を経て、確実に世界観の解像度は上がってきています。第3部は絶対に観るでしょう。
今回、捕虜への拷問がされていたりと、戦争の残酷さが少しずつ描かれ始めています。次回はこのあたりがもっと深く描かれたらドンハマりしそうです。 「玩具」としての、あるいは「ヒーロー」としてのガンダムではなく、それは人を殺すれっきとした「殺戮兵器」なのだという視点で、もっとこの物語を観ていきたいですね。
ガンダムシリーズどころか、モビルスーツに全く興味なかった人間が、ググっと足を踏み入れるかもしれない、僕の人生において記念碑的な作品になりました。ファンが喜ぶのは当然として、新規がここまで魅了される作品は物凄く稀有です。この先もあえて、原作小説や考察などを一切見ずに、楽しもうと思います!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんの感想も、ぜひお聞かせください!


コメント
はじめまして。
ずっとブライトさんのファンです。
映画を観て感じたことを、言語化してくださり、ありがとうございます。
ミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合炉は宇宙世紀ガンダムに必須なので、宇宙世紀だと示すには重要だと思います。
あと、格納庫の巨大掩体感も、軍内の多様な職種も、リアリティを高めていて良いですよね。
>「地球に行って晩ご飯までに帰るよ」
多分、「明日内見するから、今日は夜には帰宅する。その後、地球降下だ。」という内容だと思います。
地球降下前日だというのに、いつもと同じような振る舞いに、震えました。
出撃前夜の夫婦の時間があの後にあるのでしょう。
第3部は、見たいけど、怖いです。
わー!コメントありがとうございます、物凄く嬉しいです!
ブライトさんのファンなのですね!あの年齢でソリッドに鍛えられた肉体が超イケオジでしたー♪ミライさんも相変わらず品が合って、あの地獄を生き抜いた貫禄の夫婦って感じが良かったです。
そっかそっか、内見に行くって言ってましたもんね!そのあと地球に行くという意味なのですね、ありがとうございます、滅茶苦茶納得しました♪
東京-福岡間位の距離で、ブライトさんともあろう生粋の軍人が息子の活動に気付かないハズないよなあと思っていたのです。やっぱりある程度距離のあるコロニーなのですね。第三部確かに楽しみだけど怖いですねえ…(泣)
「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合炉」調べました!
なんという夢のエネルギー…この開発からガンダムの物語が始まった感じなのですね。
ミノフスキー粒子はここからきてたのかー!大変興味深い、勉強になります!
原作小説を読みたい欲をグッと抑えて、第三部を座して待つことにします☺
コメント頂き、ありがとうございました!