【果てしなきスカーレット】
- 鑑賞日 2025/12/05
- 公開年 2025
- 監督 細田守
- 脚本 細田守
- キャスト 芦田愛菜、岡田将生、山路和弘、柄本時生、青木崇高
- あらすじ 父を殺され王位を奪われた王女スカーレットは、「死者の国」で目を覚ます。略奪と暴力が支配し、弱き者は「虚無」となり消えてしまうその世界で、彼女は現代日本から来た看護師の青年・聖と出会う。復讐を誓うスカーレットだったが、敵味方なく優しく接する聖との旅を通じて心が変化し、「生きるとは何か」を見つめ直していく。
- ジャンル 日本アニメ ドラマ アクション
- 鑑賞媒体 映画館
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感想
細田監督作品はなかなかレビューが難しいです。
というのも僕の趣味嗜好と相性が悪く、一応全作観ておりますが純粋に楽しかった作品は「サマーウォーズ」位…
相性関係なくなるべくフラットに感想を述べて行ければと思います。
観終わって一番に思ったことは、縦軸はどこだったのだろう、という事でした。
作り手の魂の叫びというか、脚本の体重が載っている部分というか、これを描きたいんだ!という骨子が今一つわかりませんでした。
全体ボヤッとしたテーマはわかります。「許し」の物語であったり、「未来を想い、今を変える物語」であったり、2025年現在の世界情勢を社会テーマとして描いているとしたら、聖地を巡る戦いはガザ・イスラエル紛争のメタファーだったり?
考察すべき謎も沢山あります。
母親があれだけ冷たいのは実の子ではない?実はスカーレットはクローディアスの娘?デンマークの歴史とは、聖地とは、ドラゴンの意味するものとは。
どうやらハムレットとダンテを履修していたら、もっと物語を楽しめたみたいです。
無教養で申し訳ありません。
ただ個人的に思うことは、伝統芸能や教育コンテンツならまだしも、幅広い層に見て欲しい純粋なエンターテイメントに、事前教養がないと楽しめないというのは、不親切な設計に感じてしまいました。
そういう作品もあって良いとは思いますが、教養が必要な部分に関しては、「知らなくても楽しい、知ってたら尚名作」がエンタメの大前提であって欲しいと思っております。
ディズニーしかり、ジブリしかり、のようにです。
話を戻しますと、散りばめられている謎も「伝えたい縦軸」が見えてこないと、その考察をしようという気にならないのが残念な所です。
「父親の夢を継いで、少年が天空の城を目指す」「仲間を集めてワンピースという秘宝を探す」「鬼にされた妹を人間に戻す」などなど。
読者もこれらの骨子を共有して初めて、「空に城が浮かぶなんて原理はどうなってるんだ?」「グランドラインの終着点ってどんなところだろう?」「鬼から人に戻すにはどんな方法があるんだ?」と、その世界の謎に興味を持ち考察を始めると思うのです。
スカーレットの動機に共感しないまま物語は進むので、上記の様な熱も生じないまま謎だけが増えて行きます。表面上の動機はわかります。愛する父の命を奪ったクローディアスへの復讐なのでしょう。ただ、道中彼女は何度も心が折れかけているので、そこまで強い情念ではなく、別の動機がありそうです。なんせ復讐の物語と言えば、こちとら「ベルセルク」を基準としておりますので(笑)、生半可な復讐心では作品全体を引っ張るエンジンとしてはちょっと弱いように思いました。
その辺も件のハムレットなどを知っていれば氷解するのでしょうか。
それと物語と別途期待していたものとして、前評判の高かった「迫力のある絵作り」に関して、これも僕の好みの問題なので申し訳ないのですが、細田監督が得意とする、「沢山のキャラやオブジェクトが画面一杯に動く」というものも、僕の中で迫力のある絵作りの内に入らないのです。アナログで描いているならその労力は感嘆モノですが、3DCGである以上、予算と人員が揃えば細田監督でなくても可能なのだろうな、という印象で…(もちろん3DCGも大変な手間がかかるものですが)
物量で押し切る絵作りでなく、監督自身のセンスで作り上げる、観た瞬間「おおっ!」とゾクゾクするような構図が好きなのです。それこそ実写では不可能な、アニメーションでしか描けない真骨頂なのですから。
冒頭のスカーレットの背中越しに竜のシルエットが映るアングルはワクワクしました!
「未だかつてないアニメーション映画の境地」とまでうたわれていたものですから、どれほど最先端の映像を観れるのかと期待したのですが、ゲームを嗜む身としてはちょっと数世代前の3DCGに見えてしまう。予算が違いすぎるので比べるのは酷ですが、この後のズートピア2など観てしまうと、「いまだかつてない」のキャッチコピーには代理店の過大広告と首を捻ってしまいます。
つらつらと批判ばかり書いてしまい申し訳ありません。
公開から多少経過していることですし、お金払って劇場で観たので、何卒ご了承下さいませ。
あくまで僕の個人的な感想でございます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんの感想も、ぜひお聞かせください!


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