【ひらやすみ】
- 鑑賞日 2025/12/18
- 公開年 2025
- 監督 松本佳奈
- 脚本 米内山陽子
- キャスト 岡山天音 森七菜 吉村界人
- あらすじ 生田ヒロト、29歳、フリーター。 定職なし、恋人なし、普通ならあるはずの?将来の不安も一切ない、お気楽な自由人です。 そんな彼は、人柄のよさだけで、 仲良くなった近所のおばあちゃん・和田はなえから、一戸建ての平屋を譲り受けることに。 そして、山形から上京してきた18歳のいとこ・小林なつみと2人暮らしを始めました。 彼の周りには生きづらい“悩み”を抱えた人々が集まってきて……。
- ジャンル 日本ドラマ ドラマ コメディ
- 鑑賞媒体 アマゾンプライムビデオ
- お気に入り ◎
感想
登場人物全員の幸せを願わずにはいられない、美しいまったり日常ドラマで、とても暖かい気持ちになりました。
…すみません、嘘をつきました!もちろん全体とても面白かったのですが、同時に僕は俗世にまみれている汚い人間なので、こういった「性欲を排除した系物語」を見るととても眩しくて、羨ましくて、嫉妬してしまいます。
主人公のヒロト君は、妬み、嫉み、憎しみ、特に性欲や下心、そういった人間の持つ負の感情を一切合切持たないお釈迦様の様な人間です。それは役者を挫折したというトラウマから心を病んだ結果なのですが、病んだ結果世を拗ね、人を憎むのではなく、解脱するのがすごい。
自身が役者を諦めた状態での中、姪っ子は漫画家志望として着々と結果を出していきます。でも彼はそれを素直に祝福し、嫉妬なんてしません。収入は細々とアルバイト生活ですが、友達が結婚して車載って子供が生まれた時も、これまた心から祝福し、人と自分を比べて卑下なんてしないのです。
そして何より、好みの女性に対して、「今誘ったらほぼ確で飲みに行ける!」といった場面でも、「それでは、また」と紳士的に解散いたします。下心だらけの僕にはとても真似できません、大いに嫉妬です。
この様な調子で全体進むので、これはファンタジーとして観ておりました。
現実の辛いことを全て排除した、彼らだけが幸せな箱庭世界。こういったドラマは沢山ありますし、その前提にスイッチングすれば、深くて重い感動は得られなくても、気軽に楽しく物語に没入できます。
…と途中まで観ておりました、が!
こういったテイストのドラマで、僕の大好きなパターンとして、ほのぼの世界と見せかけて急にシリアスをブッ込んでくるという大好物の展開がございます。
例えるなら極端ですが、ちびまる子ちゃんの世界で戦争が起きる、みたいな。
ヒロト君以上にファンタジーな人物として、友達の野口ヒデキがおります。彼の人物設定としてはただの賑やかしとして物語を彩る、これといった背景もないモブに近い存在価値だと思っておりました。こういうキャラは配置するだけでドラマが明るくなり主人公の対比として使いやすいです。
トレンディドラマでも良くある会社の同僚的な立ち位置で、しかしその家族構成や内面描写など、人物像を深掘る設定は一切用意されていなかったりします。
ヒデキもその様なモブAかと思っていたのですが、彼にこそファンタジー世界をぶち壊す、現実のリアルを抱え込ませるというお話としてのトリプルA!これには痺れました‼
僕らが生きている現実が、ダンテの地獄の最下層コキュートスだとしたら、一層のリンボでキャッキャッウフフと楽しく暮らしているのがヒロト君たち。ヒデキは第五層あたりで苦しんでいるようなリアリティーラインのズレさ加減です。それ位の重みを見せてはくれました。
このギャップで心打ってくる手法はズルイですよねえ~、大好きです!
それと姪っ子の森七菜さんも良いキャラを演じられてましたー。
一歩間違えれば寒くて見てられない陰キャ像を、絶妙な塩梅で、痛すぎず大げさすぎずコミカルで愛すべき小林なつみに仕上げておりました。拍手!
彼女も漫画家を目指す上で現在は順風満帆ですが、いくらでもヒデキの様に地獄に落ちる要素はあるので、ハラハラドキドキです。
原作漫画は未読なのでこの先があるかわかりませんが、シーズン2があるとして、ヒロト君は変わらず我欲を捨てつつ幸せに箱庭ファンタジーで生き続けるのか、ヒデキの様に地獄を味わい、僕らと同じ最下層に堕ちてくるのか、どちらに転んだとしても楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんの感想も、ぜひお聞かせください!


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