【映画レビュー】「8番出口」ゲーム実況世代を劇場に呼ぶ、超・大手資本による戦略勝ち!

映画

【8番出口】

  • 鑑賞日 2025/09/04
  • 公開年 2025
  • 監督 清水崇
  • 脚本 清水崇
  • キャスト 二宮和也
  • あらすじ 奇妙な現象が繰り返される地下通路からの脱出を試みるホラーゲームを原作とした作品です。
  • ジャンル 日本映画 ホラー サスペンス
  • 鑑賞媒体 映画館
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感想

純粋にワクワクハラハラして観れる、アトラクションのような映画体験でした。

映画『8番出口』、未プレイですが、 元ネタは無限に続く地下通路から脱出するだけのインディーズゲーム。物語も何もないあのゲームを、まさか大手資本で、しかも二宮和也さん主演で映画化するなんて……企画自体が狂っているとしか思えません(笑)。

しかし、蓋を開けてみれば「なるほど、こう来たか」と唸らせる、技が光るエンタメ作品に仕上がっていました。

観客も「異変」を探すカメラワーク

まず感心したのが、カメラワークです。 単に主人公を追うだけでなく、観客も一緒になって画面の隅々の「異変」を探したくなるような構図が徹底されていて、まさにゲームそのもの。

セットなのか、実際の地下鉄ロケなのか判別がつかないほど精巧な美術も相まって、スクリーン全体が不気味な「間違い探し」のキャンバスになっている。 この没入感を作る手腕は、さすがでした。

二宮和也の「喘鳴(ぜんめい)」という発明

映画版オリジナルの設定として、主人公が重度の「喘息」を患っているのですが、この改変が素晴らしい。 ゼーゼーと苦しむあのリアルな喘鳴(ぜんめい)。 閉塞感のある地下通路と、無限ループの絶望感に、呼吸困難という生理的な恐怖が重なる。

この喘息の発作が、実質的なタイムリミットとして機能しており、 薬が切れる前に脱出しないと死ぬ。 見ているこちらまで息苦しくなり、「早く脱出しないと!」と焦燥感を煽られる。ゲームにはない要素を足すことで、単調になりがちなループものに映画的な緊張感をもたらしていました。

また二宮さん自身の、ちょっと浮世離れした感じと言うか、通常の人間なら普通こんな状態になるとパニックだよな、と共感を削がれがちな所を(本来その落とし込みに多大な時間を割かなければならない所を)、「まぁ、ニノならこんだけ冷静なのもなんだか納得」と思わせてくれる絶妙な塩梅でした。

大手資本だからこその「勝利」

本作の勝因は、これをミニシアター系のインディーズ制作ではなく、大手広告代理店がバックについた「メジャー映画」として公開したことに尽きると思います。

配給が東宝、大手広告代理店のガチ参画、最大手の映像制作プロダクションによる制作・出資、錚々たる布陣です。

街中での一大プロモーション、人気俳優の起用、そしてSNS世代への訴求。 劇場を見渡すと、観客のほとんどが10代〜20代の若い人たちでして、これは物凄く嬉しかったですね。 普段はYouTubeでゲーム実況を見ている層が、こうして映画館に足を運んでくれる。この「劇場鑑賞の習慣化」に繋がる流れは大歓迎です!

日本のホラー映画は、アニメ・ゲームに続き、胸を張って世界に誇れるコンテンツですので、こういった実験的なチャレンジ作がメジャー規模で作られるのは、とても健全なことだと感じました。

惜しまれる「ドラマ」の深さ

あえて欲を言うならば、ドラマパートの深掘りでしょうか。 本作では映画的な肉付けとして、「子供を授かる・諦める」といった夫婦の重い題材が扱われています。

しかし、そのテーマの割には、心の抉り方や感動への着地がマイルドだったかな。 もっとドロドロとした人間の業や、救いようのないエグさ、そこから生じる命というものへの敬意、なども描くこともできたはずですが、そこはやはりターゲット層(中高生含む)を考えれば、これくらいの塩梅が正解でしょうし、求めすぎですね。そこが刺さっていれば感想◎でございました。

総評

ゲーム未プレイでも全く問題ありません。「人生の一本!」と絶賛するほどではありませんが、90分間、ダレることなく恐怖と焦燥を楽しめる良作でした。ポップコーン片手に、二宮さんと一緒に「異変」を探しに行きましょう!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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