【沈黙の艦隊 北極海大海戦】
- 鑑賞日 2025/09/27
- 公開年 2025
- 監督 吉野耕平
- 脚本 髙井光
- キャスト 大沢たかお、上戸彩、津田健次郎、中村蒼
- あらすじ かわぐちかいじ氏のコミックを実写化した『沈黙の艦隊』シリーズの第2作。独立国「やまと」の建国を宣言した海江田四郎が、米第7艦隊を圧倒した後に国連総会へ向かう中、アメリカの最新鋭原潜と流氷が浮かぶ極寒の海で激しいバトルを繰り広げます。一方、日本では「やまと」支持を表明する竹上首相を中心に、衆議院解散総選挙が実施される様子も描かれています。
- ジャンル 日本映画 アクション サスペンス
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)
感想
絵面が滅茶苦茶リッチ! そして都度都度構図もかっこいい!! 海外資本だけどスタッフロールも日本人ばかりで、予算があれば我が国もこんなイカすアクション作れるんだなぁ。
日本の実写化における「勝利の方程式」
日本には世界に誇る漫画原作という宝物が山ほどあるのに、予算不足(それだけではありませんが)が原因で、残念な実写化作品が量産されてきた歴史があります。かといって、ハリウッドに丸投げすれば、あの『DRAGONBALL EVOLUTION』のような悪夢が再来しかねません。
そんな中、本作が示した「日本漫画原作 + 日本人スタッフ + 日本人役者 + 外国資本出資」という形は、ひとつの僥倖に僕は見えました。逆にネットフリックスで潤沢な予算を与えられたのに、失敗してしまった数々のアニメ化は、ちょっとロジックが謎です…。
海外資本でありながら、エンドロールに並ぶ名前は日本人ばかり。制作の指揮を日本人監督がしっかり握れるのであれば、たとえ現場で細かく口を出されることがあったとしても、この形式は極めて理想に近いのではないでしょうか。このプロジェクトが成功すれば、いつの日か『ジパング』や『太陽の黙示録』の実写化も夢ではない……!そんな期待も抱かせてくれます。
圧倒的な信頼感とポリティカル・サスペンスの妙
役者陣も素晴らしいですが、やはり主演の大沢たかおさん。映画『キングダム』での王騎将軍の印象もあってか、その頼りがい、安心感はもはや半端ではありません!
脚本に関しても、御大・かわぐちかいじ先生の原作ですから心配無用。あとはVFXにどれだけ予算をかけられるかという点だけが懸念でしたが、それも見事にクリアされていました。
また、『シン・ゴジラ』を彷彿とさせるような、ポリティカル・サスペンスとしての側面も非常に見応えがありました。印象的だったのは、選挙に当選した後のシーン。薄暗い部屋で、肴もなしにコップ一杯の日本酒(一升瓶!)を煽る……。一見すると常温だし「すげえまずそう〜(笑)」なのですが、同時に「マズいけれど、最高に美味しいんだろうな」とも思わせる、独特のリアリティと男の哀愁が漂っていました。
リアリティの塩梅と、日本人の「自嘲」まじりの高揚
劇中、潜水艦が「飛ぶ」シーンには思わず笑ってしまいましたが、「もしかしたら『やまと』なら本当に出来るのかも?」と思わせるギリギリのリアリティラインの塩梅が実に見事です。あの絶妙な嘘と真実の境界線、を映像で体験できたのは非常に楽しかったです。このハッタリこそが、かわぐち作品の醍醐味ですよね。
また、現状の国際情勢から見ればあり得ないほどの日本の最強っぷりに、「うひょ〜日本つええ!」と乗せられてしまうのは情けない気もしますが、高揚してしまったのは事実です。
以前『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』などで日本が凄まじい剛腕強国として描かれていた際は、「そんな馬鹿な、はずかちー!」という感覚でしたが、「まぁ実際にはあり得ないから、せめて映画の中だけは無双させてよ」という自嘲を持って観られるあたり、日本人可愛いなと思います(笑)。
さらに、敵の潜水艦をしっかりと沈める描写。邦画の歴史において、日本人がアメリカ人を正面から殺めるシーンというのは、意外と珍しい気がします。どこかで「結局は助かるんでしょう?」というメタな視点を持って観ていましたが、容赦のない展開には驚かされました。
次回も超楽しみ!
外資出資×日本人スタッフが実現した、リッチすぎる映像美とアクション。大沢たかおさんの圧倒的存在感、ポリティカル・サスペンスとしての深み、そして「飛ぶ潜水艦」に見るリアリティの境界線。日本漫画の実写化における最前線と言える一作でした。
かわぐち作品が持つ「世界を動かす圧倒的な個の意志」が、最高の制作環境で具現化された喜び。この勢いで是非完結まで走り切って欲しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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