【アニメレビュー】「ふたりソロキャンプ」/キャンプ描写はガチ、設定は男の妄想の「ごった煮」?

アニメ

【ふたりソロキャンプ】

  • 鑑賞日 2025/09/04
  • 公開年 2025
  • 監督 羽鳥潤
  • 脚本 皐月彩
  • キャスト 濱野大輝、新崎瑞季
  • あらすじ 「ソロキャンプは一人でするものだ」という主義を持つ孤高のベテランキャンパー・樹乃倉厳は、ひょんなことからキャンプ超初心者の草野雫と出会います。最初は渋々ながらも、二人は一緒にキャンプをすることに。厳は不器用ながらも雫にキャンプのノウハウを教え、次第に二人の距離は縮まっていきます。ソロキャンプをとおして描かれる、二人の心温まる日常が描かれています。
  • ジャンル 日本アニメ コメディ ドラマ
  • 鑑賞媒体 アマゾンプライムビデオ 
  • お気に入り △(×、△、〇、◎の四段階)

感想

最近のキャンプブームで、この手の作品は本当に増えましたよね。今回紹介する『ふたりソロキャンプ』も、道具の選び方から設営、火の扱いといったノウハウがめちゃくちゃ細かく描かれていて、実践的なガイドとしてはかなり優秀な一作です。

ただ、正直なところ、観進めるうちに「うーん……」と首をかしげる部分もありまして。今回は、そんなモヤモヤも含めて正直に語っていこうと思います。

「おじさんの理想」が強すぎて、リアリティが迷子に

まず、どうしても触れずにはいられないのがキャラクター設定です。34歳のおじさん(樹)に、二十歳の巨乳美人女子大生(雫)が勝手に惚れてグイグイくる。しかも樹の方はそれを邪険にしているのに、彼女はめげずに慕い続けてくれる……。

「なんという都合の良い、おっさんの妄想よ」と、思わずツッコミを入れたくなってしまう程で、初対面の男にホイホイ付いていく雫ちゃんの危機管理能力の低さも、物語に没頭するのを邪魔してくるというか、観ていてヒヤヒヤ。

正直、こういう「おじさんにとっての理想のごった煮」みたいな展開は、今の時代ちょっと気持ち悪さを感じてしまう人も多いんじゃないかなぁ。これを観た男性が「キャンプ場に行けば出会いがある!」と勘違いして、女性ソロキャンパーに声をかけまくる事態にならないか、ちょっと懸念しました。フィクションと割り切れればいいですが、実際そういう被害報告もありますし…。まぁようはリアリティの無さが鑑賞のノイズになったってことですね。

所沢・飯能が出てくる「地元感」の嬉しさ

そんな設定への不満がありつつも、僕がこの作品を捨てきれないのは、舞台選びの喜びです。 作中に所沢や飯能といった、馴染みのある場所が出てくるのはやっぱり嬉しいですよね。地元感があると、それだけで親近感が湧いてしまうのは「あるある」だと思います。

また、樹の「焚き火禁断症状」の描き方も、一見ギャグに見えますが、キャンプ好きならちょっと分かるところがあるはず。自然の中でただ火を見つめるあの不思議な体験は、一度ハマると無性にやりたくなる中毒性がありますよね。

中盤で樹の元カノが登場して、彼の背景が見えてきた時も正直ホッとしました。「あ、この人ちゃんと恋愛経験あったんだな」と、ようやく通常のリアリティラインに降りてきてくれた気がします。

キャンプ描写とエロ要素の「食い合わせ」

本作は山の怖さをしっかり提示したり、キャンプマナーに厳しかったりと、教育的な意義も大きい作品です。だからこそ、そこにわざわざ「エロ要素」を盛り込む必要があったのかな?と疑問が残ります。

他のキャンプ作品や登山作品などが同性同士の構成にして、恋愛要素を排しているのは、それがキャンプ本来の「静かな時間」を邪魔するノイズになるからだと思うんです。
キャンプは世俗の煩わしさから逃れるために行くものなのに、そこに恋愛を持ち込むと、ゲンさんの「キャンプに対する崇高さ」が剥がれて、ただのおじさん化していく。この相性の悪さが、僕がノりきれなかった最大の理由かもしれません。

これがもし、同世代の落ち着いたカップルや、酸いも甘いも噛み分けた年配のご夫婦の物語だったら、もっと「わびさび」のある深いドラマになったのになあ、なんて思ってしまいます。

キャンプの背中を押してくれるのは確か

設定にはかなり癖がありますが、登場するギアの質感や、真似したくなるキャンプ飯の数々は間違いなく一級品です。実在する道具がモデルになっているので、ギア選びの参考にもなりますし、「自分にもできるかも」と思わせてくれるポジティブなエネルギーはあります。

「設定はファンタジー、キャンプ知識はリアル」と割り切って楽しめる人なら、かなり実用的なバイブルになるはず。僕にはちょっと合わない部分もありましたが、キャンプマナーの啓蒙という意味では、一読の価値がある作品だと言えそうです。


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