【ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編】
- 鑑賞日 2026/03//14
- 公開年 2026
- 監督 片桐健滋
- 脚本 黒岩勉
- キャスト 山﨑賢人(杉元佐一)、山田杏奈(アシリパ)、眞栄田郷敦(尾形百之助)、矢本悠馬(白石由竹)、工藤阿須加(月島基)、栁俊太郎(二階堂浩平)、塩野瑛久(小糸音之進)、中川大志(鯉登音之進)、稲葉友(宇佐美時重)、和田聰宏(門倉利運)、國村隼(鯉登平二)、玉木宏(鶴見中尉)、舘ひろし(土方歳三)
- あらすじ 2024年公開の映画第1作、そしてドラマシリーズに続く実写版「ゴールデンカムイ」の映画第2作。アイヌの莫大な金塊の在処を示す24人の脱獄囚の「刺青人皮」。杉元佐一とアシリパ、鶴見中尉率いる第七師団、そして土方歳三らによる争奪戦は、ついに金塊の鍵を握る「のっぺら坊」が収監されている網走監獄へと舞台を移す。シリーズ前半のクライマックスとなる網走監獄での激闘が描かれる。
- ジャンル 日本映画 アクション アドベンチャー
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)
感想
ついに!待ちに待った映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』。
前作の映画、そしてWOWOWのドラマ版を経て、満を持しての公開となった今作。結論から言うと、最高に面白かった!!
ドラマ版を経たからこそ生まれた、キャラクターへの深い愛着
第1弾の映画からすぐにこの第2弾の映画が公開されていたとしたら、多分それぞれのキャラクターにここまで感情移入することはできなかったと思います。でも、間にドラマ版を挟んでじっくりと物語を紡いだことで、めちゃくちゃ各登場人物に愛着が湧いた状態で今作を観ることができました。この「映画、ドラマ、そして映画」というメディア展開のバランスは、ファンにとっても物語にとっても理想的ですね。
その関係性を経て、劇中で杉元が放った「アシリパさんには普通に過ごしてほしいんだ」という叫びには、本当に泣けた…この物語の登場人物はみんな、何かしら地獄を経験している人たちばかりです。だからこそ、なおさら「アシリパさんだけは平和に過ごしてほしい」という杉元の願いがどこまでも深くて、切なく胸に響きました。
予想外の幕開けと完璧なタイトルバック
今作も「タイトルバックが完璧なシリーズ」に見事ランクインです!いや、「タイトルバックが下品なシリーズ。」とでも言いましょうか…
まさか冒頭にラッコ鍋を持ってくるとは、超予想外でした。これを愛を持って再現してくれる制作者の熱意に胸が熱くなりますし、まぁー!笑いましたね。相撲の描写とあの荘厳なBGMが、まさかこんなに親和性が高いとは(笑)あんなに「ひんな(美味しい)」タイミングでのタイトルバックには、思わず脳内拍手でした。
鶴見中尉が駆逐艦で登場するシーンも鳥肌立ちまくりです。これくらいCGに違和感なく、かつ予算をかけてしっかりと描写できるなんて、邦画もここまでできるんだなぁと感慨深い気持ちになりました。
家長を演じた桜井ユキさんも本当にすごくて、あの生姜醤油のくだりは圧倒されましたね(笑)土方さんのチタタプも面白かったですね。とにかく登場人物全員の再現度が異常、このキャスティングへの偏愛は脱帽です!
実写化の枠を超えた再構築の素晴らしさ
前回の映画やドラマに続き、今回も見事に漫画を咀嚼し、分解して、映画用に再構築された表現がまことに素晴らしかったです。
前半にこれだけのギャグシーンを詰め込んで構築したからこそ、後半のアシリパさんとお父さんのエピソードが本当に重くて切なくて、その対比がより際立っていました。
杉元の狂気がどんどん加速していって、もう戻れない一歩手前まで来ているのを見ていると、本当にハラハラします。まるで『ベルセルク』のガッツのようですよね。抜き身の刀である杉元に対して、それを収める鞘であるアシリパさんが離れ離れになってしまって、今後一体どうなってしまうのか、楽しみで仕方がありません。
脚本の妙とアイヌ文化への敬意
普通、漫画の実写化というものは、原作に思い入れがあればあるほど熱が冷めてしまうものですが、今作のように「漫画のキャラ以上に愛おしくなる」というケースは本当に珍しいです。監督、脚本、スタッフ、演者の皆さんのとんでもない熱量が作り上げた結果です。
今回はドラマ版よりもさらに、アイヌ文化への敬意が深く描かれていた気がします。WOWOWのドラマと劇場版では、それぞれレーティングもターゲットも違うはずですが、そういう媒体の違いに左右されず、一貫して漫画のテイストを表現しようとしてくれる姿勢が素晴らしい。
あと、物語の「ウェットな部分」が本当に僕好みでちょうどいい塩梅なんです。漫画の実写化では、往々にして「お涙ちょうだい」というか、大げさに泣かせようとする演出が多いものですが、今作はそこをある程度一定の距離を置いて描いてくれる。それが逆に、深い感動につながっているんだと感じます。
狂人たちを繋ぐ緻密な構成
今回初登場した宇佐美にも驚きましたが、本当に出てくるのが狂人ばかりなので、唯一まともな存在であるアシリパさんの純粋さが身に染みます。なので、こちらの世界を味合わせたくない、という杉本の気持ちが痛いほど伝わる。裏切り者だらけの世界で、この二人だけの絆は揺るがないのがとても美しいです。
原作をいい具合にカットして繋げ、2時間の尺にこれほど見事に収めた脚本の黒岩勉さんはマジですごいです。登場人物がかなり増えて、三つ巴のすごくややこしい関係性になっているにもかかわらず、カット割りや時系列の整理が丁寧なので、めちゃくちゃ分かりやすくこちらに伝わってきます。この構成は見事としか言いようがありません。
ただでさえ「のっぺらぼう」を巡る三勢力の筋書きだけでも大変なのに、そこに谷垣とインカラマッの恋模様まで織り交ぜて、全然ごちゃつかないのが本当にすごいです。人物描写が一人ひとり明快で、キャラのアクも強いので、誰が誰だか見分けがつかなくなることが全くありません。前半あれだけ笑わせておいて、後半に泣かせる。プロットとしてこれ以上ない群像劇の理想形ですね。
圧倒的なスケールで描かれる戦場
これからもかなりの早いテンポで作っていかないと、子役の成長が早くて大変だろうな……なんて余計な心配もしてしまいますが、劇場の大画面で見る北海道の景色は本当に映えました。
網走監獄での乱闘シーンもまさに圧巻でした。邦画でこれだけのアクションを描けるなんて、嬉しい限りです。700名の凶悪犯罪者も相当な強さのはずですが、それを全滅させてしまう第七師団の強さたるや。彼らが強ければ強いほど、あの戦場がいかに過酷だったかを物語っています。戦争経験者と未経験者の、この圧倒的な強さの違いの対比が凄まじかったです。
次なる旅路を待ちわびて
これだけ各キャラに感情移入していると、誰が死んでも悲しい。今後続く物語で、ますます彼らが好きになると思うから、誰かがそこから欠けると思うと、今から恐ろしいです。
次回作まではまた時間がかかると思いますが、もう待ちきれない!これほどまでに続きが楽しみなシリーズに出会えて、本当に幸せです。杉元とアシリパさんの行く末を、最後まで見届けたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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