【ドラマレビュー】「ひとりで飲めるもん!」/記憶には残らないが、その時間は確かに楽しかったシリーズ

ドラマ

【ひとりで飲めるもん!】

  • 鑑賞日 2025/09/04
  • 公開年 2021
  • 監督 原廣利
  • 脚本 政池洋佑
  • キャスト 大政絢、桐山漣、大石吾朗、紫吹淳、堀内敬子
  • あらすじ 不動産会社の営業として働く紅河メイ(大政絢)は、仕事はできるものの周囲との関係が苦手で、一人で過ごす時間を愛する「ぼっち」女子。そんな彼女の唯一の楽しみは、仕事帰りに様々な飲食店を訪れ、美味しいお酒と料理に舌鼓を打つことでした。孤独のグルメならぬ、孤独のお酒を堪能するメイの日常と、酒にまつわる様々な人間模様が描かれます。
  • ジャンル 日本ドラマ コメディ グルメ
  • 鑑賞媒体 アマゾンプライムビデオ
  • お気に入り △(×、△、〇、◎の四段階)

感想

大政絢さんが「鉄の女」と呼ばれるバリキャリ女子・紅河メイを演じたグルメドラマ。「ぎょうざの満洲」など、僕の地元・所沢にも馴染みの深いチェーン店が登場する作品だけに、親近感が沸きました。

仕事中は隙のない完璧な女性が、終業後にチェーン店へ駆け込み、一人で至福の時を過ごす。この「ギャップ」を楽しむ作品として、短時間でサクッと観られる軽快さは、まさに仕事終わりの癒やし枠として丁度いい塩梅でした。

ただ、物語部分にテンプレ感や深みはあまりなかったので、「記憶には残らないが、その時間は確かに楽しかったシリーズ」に加えさせて下さいませ。

「天丼てんや」に「ぎょうざの満洲」。チェーン店の安心感

本作の最大の魅力は、舞台が「天丼てんや」や「ぎょうざの満洲」といった、僕たちにとって馴染み深い実在のチェーン店であることです。特に「満洲」に関しては、所沢近辺に住んでいる身として、それだけで親近感が湧きます。

馴染みのあるメニューの「通な楽しみ方」を提示してくれるので、明日すぐにでも真似したくなる。数百円で得られる「小さな幸せ」をリスペクトを持って描く姿勢は、観ている側の自己肯定感も高めてくれます。誰にも邪魔されず、自分のペースでビールを煽るメイの姿は、まさに現代の贅沢な儀式そのものでした。

飽き飽きした「成長」を拒む王道パターン

ただ、ストーリー面に関しては、正直「またこれか……」と溜息が出てしまう部分もありました。

一流ライバル社からのヘッドハンティングを、「今の小さな会社でみんなを笑顔にしたい!」という理由で断る展開。かつては王道の美談でしたが、今の時代、これは「物語を停滞させるための言い訳」に見えてしまいました。(2021年放映時を鑑みたとしても)

プロとしての熱量を描くのであれば、新しいステージで何ができるかを模索する姿を見せてほしかった。キャリアアップを捨てて現状維持を選ぶ不自然さは、現代的なリアリティとはかけ離れている気がします。

完璧な女性像に落ちた「タメ口」というシミ

そして、僕がどうしてもノりきれなかった最大の要因。それは、主人公・メイの店員さんに対する「タメ口」です。

仕事は完璧、誰に対しても厳しいけれど筋は通す。そんなクールな女性が、飲み屋に入った途端に店員さんにタメ口をきく演出。おそらくリラックスしている表現のつもりだったのでしょうが、今の時代、誰に対してもフラットに、敬意を持って接することこそが真の格好良さだと思うもので…

もちろん仕草は丁寧で、何一つ店員さんに失礼なことはしてません。ただ、「これお願い」「これにするわ」などの口調が、そのたった一つの振る舞いだけで、せっかく築き上げた「完璧な女性像」に、解消しがたい嫌悪感のシミがついてしまったようで、非常に残念でした。

接客業経験から感じた、僕の細かすぎる上げ足取りですけどねえ(汗)

地方格差と「二番煎じ」の壁

また、田舎育ちの僕が観ていて思うのは、関東近郊にしかないチェーン店ばかりだと、地方の視聴者は「行きたくても行けない」というフラストレーションが溜まるだろうな、ということ。

どうしても『孤独のグルメ』という巨大な先駆者と比較してしまい、スケールの小ささや二番煎じ感は否めませんが、それでも「今夜、あの店に寄って帰ろうかな」と思わせてくれる魔力は確かにありました。

深く心には刻まれないけれど、観ている間は確かに心地よい。そんな「自分を慈しむ時間」を再確認させてくれる、軽やかな一作でした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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