【ひゃくえむ。】
- 鑑賞日 2025/9/21
- 公開年 2025
- 監督 岩井澤健治
- 脚本 むとうやすゆき
- キャスト 松坂桃李、染谷将太、内山昂輝、津田健次郎
- あらすじ うまれつき足が速い天才ランナーのトガシと、辛い現実を忘れるためにがむしゃらに走る転校生の小宮。二人は100m走を通して、ライバルであり親友でもある関係を築いていく。やがてトップランナーとなった二人の、才能と努力、そしてプレッシャーに直面する姿を描く。
- ジャンル 日本アニメ ドラマ スポーツ
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎
感想
原作は「チ。-地球の運動について-」でおなじみの魚豊先生。爽快で熱くて最高におんもしろかった!!日本には数多のスポーツ漫画という大財産がありますが、本作のような「フィクション寄りではない、リアル志向のスポーツアニメ化」は、今後のアニメ界の巨大な鉱脈になりそうです。
「嘘」と「リアル」のハイブリッド領域
とにかく気持ちが良い今作の映像表現。通常、人間をリアルに描くロトスコープ(実写をトレースする手法)だけだと動きがヌルヌルしすぎて味気なくなりがちですし、かといって漫画的なケレン味だけで描くと嘘臭くなる。 しかし本作はその両方の難点を見事に克服し、素晴らしいハイブリッド領域で仕上げていました。
改めてアニメーションというものは、作画の気持ち良さが群を抜いていると、物語や設定の多少のアラを捻じ伏せて全てを吹っ飛ばしてくれますね。これぞこの媒体が持つ魅力だと再認識しました。
「説明」を捨てた演出の勝利
スポーツものや音楽もので一番難しいのは、「いかに主人公がすごいことをしているか」を観客に伝えることだと思うのですが、その補填としてモノローグを入れたり、観客(モブ)に「す、すごく速いよ!何故ならケイデンスが一秒間に100回を超えてるからだ―‼これは前大会の優勝者より0.5秒うわまってる!このまま向かい風にならなければ一番だよ!」なんて野暮な解説をさせたりしがちです(笑)
原作未読ですが、恐らく「チ。」を読んだ限りでは作者様のテイストとして、モノローグやセリフで物語を推進するタイプだと思います。僕も漫画に置いてはそのテイスト大好きです!しかし今作はその手法をかなり排除している様に見えました。それはひとえに制作陣の、「すべてをアニメーションで表現してやんよ‼」という気概に僕は感じました。100Mただ走るという、いかにも観客にその凄さを伝えづらい題材をもって、個人的には映画という時間芸術においては、この引き算の演出が大正解だったと感じます。
映画館だからこその「音」の迫力
そのストイックな映像を陰ながら、しかし超重要な意味合いをもって支えていたのが、音響です。 おそらく家のテレビで散漫に観ていたら伝わらないであろう、地面を蹴る足音の迫力、息遣い。 後ろからライバルが迫ってくる時の「いる音」の圧。 これは映画館で全集中して初めて味わえる高揚感でした。ダンッダンッダンッと力強く大地を蹴る音に、コイツはなんだかスゲエはえーぞ!と感じさせてくれる、セリフとはまた別の説得力を与えてくれましたね。
100M走は「人生の縮図」
僕はあまりスポーツ観戦に興味がなく、「100M速く走れたところで、実生活で何になるの?」と思いがちな所を、今作は単なる競技としてではなく「速く走ることの意味」を人生の縮図として伝えてくれました。
それは言い換えれば走りに限らず、どんな分野であれ、好きな事に正直に夢中でのめり込め、というメッセージ。僕みたいなひねくれ者に、速く走れてなんになるの?と思われようとも、知った事か!自分はこれが好きなんだい‼と気にしない強さ。それは登場人物たちが皆寡黙で冷静なのだけど、うちには燃え盛る炎を秘めている、その他人に左右されない静かな熱さが最高に格好良かったです。
今後のスポーツ漫画のアニメ劇場化を楽しみにさせてくれる、分水嶺の様な作品でした。オススメ!
余談:「チ。」の呪い
海棠さんがすぐ拷問してきそうで怖かったよぅ…(泣)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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