業火の中で微笑む、ゆがんだ愛の行方
望みなくしたような
湿った空へと

胸の奥に秘めた

誓いを浮かべた

かわす言葉は皆
異邦の人のようで

重く時を刻む
城壁はそびえる

おぉ 信じる魂を

永遠へ 導いて

声を張り上げて
縛られた炎の中

殺せない その ゆがんだ愛

燃えゆく身体は

灰になって

奪われても

汚れてなかったなら

その時は 貴方が

連れて行って

そして
そっと

抱いて

イラストの解説/曲の感想
だいぶ前に描いた絵なので、クオリティが低くてすみません。 この歌は「fate」「forbidden lover」に続く、僕をラルク沼に引きずり込んだ「暗黒三部作」の一角です。
ジャンヌ・ダルクを歌っているのか、どこかで公言されたかは分かりませんが、僕が聴く時のイメージはまさにその通りです。磔にされ、火刑に処されてもなお、神を信じ続ける少女。一途で美しくもあり、その盲信に恐ろしくもなる曲です。
kenちゃんの小刻みなアルペジオから始まるイントロ。静けさの中にどこか不穏な旋律で、後ろではユッキーの細かい「チッチッチャチャチャン」というスネアが繰り返されています。それは始まる歌詞の「望みなくした湿った空」から降り出す雨音のようです。
イラストでは粗末な衣服に肌に食い込む荒縄、身体中に拷問された傷跡がありながらも、強い瞳でその空を見つめています。その瞳の輝きが消えていないのは、両手に握っている素朴な小枝の十字架のおかげでしょうか。
「かわす言葉は皆、異邦の人のようで」思想や主義が違い、分かり合えない隣人はもはや言葉の通じない異邦の人。目も表情も何を考えているのかわかりません。
「重く時を刻む城壁はそびえる」ここの歌詞も素晴らしく、城壁と重く刻む時、そして冒頭の「望みなくした湿った空」から続く、全体の灰色がかった絶望的な世界観が凄まじいです。この四小節だけで、よくぞここまで乾いた孤独な情景を伝えられるものだと脱帽します。
「おぉ 信じる魂を永遠へ導いて」少女自身の言葉なのか、群衆の一人の心ある誰かの言葉なのか、あるいは異端に堕ちた少女に対して断罪者が放った言葉なのか。僕は、火をつける「執行者」として描きました。少女のみすぼらしい格好に対して、彼は豪奢な僧服。十字架も華美で装飾たっぷりで、少女のそれとは大違いです。
その1フレーズを天から降る美しいファルセットで歌うhydeさんと対照的に、地の底から何かどす黒いものが沸き上がってくるかのようなteちゃんの「ベロベロベロ……!」という不穏なベースライン。
一拍の無音を経て、「天が舞い降りて、悪戯に楽しむのか?すべてが平伏すまで」のサビ。初めて聴いた時の鳥肌よ!高校生だったと思うのですが、重苦しいイントロから抑えに抑えたAメロ・Bメロを経て、一瞬の静寂からのhydeさんの強力な「天が」のシャウト、そして「舞い降りて」で追随する楽器隊の大爆発。通学のバスの中で、毎回雄叫びを上げたくなるのを必死に我慢したものです。
サビ中「ジャッジャガジャガジャガ、ジャッジャガジャガジャガ」と掻き鳴り続けるギターと、それを支える相変わらず不穏なドロドロと這い続けるベース。激情に駆られる二人の音に対して、ゆきーろ先生だけは冷静かつ正確に「ダッダンタカタカ」とビートを繰り返します。さながら人間同士の不毛な争いを、天上から醒めた目で眺めている神のようです。
「平伏すまで」から次の歌詞の間にkenちゃんが鳴らす「ズッツズクズクズン!」というブリッジミュート(っていうのかな?)がたまらない!ギターは弾けませんが、ここだけ弾けるようになりたいです。一日中ここだけ弾いてたい…
続く「いばらにまみれたこの血が枯れ果てても、貴方への心を抱いて」の歌詞。ここ、ものすごくて、あくまで個人的な解釈ですが、この少女であれ、茨にまみれたキリストであれ、「悪戯に楽しむのか?」と一瞬神への愛を疑ってしまっているように聞こえます。盲信のように見えて、拷問の痛みや人々の蔑みに、「どうして自分がこんな目に、神は本当にいるのか?」と、その愛を疑ってしまう瞬間がある。あるいは為政者に対する弱者の叫びとも取れますし、相変わらず色々な物語が想像できて楽しい、比喩に富んだ歌詞です。
二番が続き、大サビに向かう前の間奏。ここがこの楽曲の真骨頂!「fate」「forbidden lover」「いばらの涙」と、僕が勝手に「kenちゃん三大神ギターソロ」と呼んでいる…
ハイパースペシャル号泣鳥肌圧巻おもらしギターソロが来ます!
もう、なんでしょうね。この盛り上げに盛り上げる旋律と、思わず頭を振り回したくなる興奮!それでいて切なくて悲哀に満ちている音!毎回ライブでここを聴く時は、目をつぶって全身全霊で音を浴びます。そしてトビます。下手したらヨダレが出ているかもしれません(笑)。
「forbidden lover」の歌詞イラストもいつか描きたいと思いますが、あちらもこちらも、hydeさんのシャウトに繋げるための完璧な橋渡し!映画でいうとパーフェクトな起承転結の「転」‼完全無欠の序破急の「破」です‼むふー!
そのとんでもないソロから紡がれる叫びは「声を張り上げて 縛られた炎の中」。hydeさんにしては珍しく直接的で残酷な歌詞です。情景がまざまざと思い浮かび、胸が締め付けられます。
作曲と作詞どちらが先かわかりませんが、ギターが先ならその熱度に合った歌詞を、歌詞が先ならその重さに合ったギターソロを……と、とんでもない切磋琢磨の化学反応が生んだ芸術です。あの混沌とした間奏は、火を放った瞬間であり、少女の生と死が交差する旋律だったのですね。
そして次の歌詞ではっきりとhydeさんは「殺せない そのゆがんだ愛」と歌っています。明確にその「愛」は「ゆがんでいる」と断じているのです。それは人によっては神だったり恋人だったり為政者だったり親だったり様々なのでしょうが、「いばらにまみれて」「血が枯れ果てて」「縛られた炎の中」にあってさえ、「貴方への心を抱いて」しまう、どうしても殺せない、その「ゆがんだ愛」。神に身を捧げる殉教者の、その表裏を現した見事な歌詞です。
イントロからここまで、少ない文字数でメロディーに合わせた制限の中で、比喩を含めたここまでの表現をぶち込むなんて、本当にとんでもないな、こんちくしょうめ!絶対にhydeさんは落語とか俳句も永世名人レベルだと思う。
楽器隊の凄まじいテンションのまま物語はラストまで突っ走ります。
「燃えゆく身体は、灰になって奪われても」「汚れてなかったなら」「その時は貴方が連れて行って」「そしてそっと抱いて」……圧巻。圧巻です。ここでこのラストですよ!
身体が燃えることが「汚れ」なのか「浄化」なのか、これまでの祈りが「届いている」のか「届いていない」のか、自分の信心は「罪」なのか「祝福」なのか。とにかくすべてがあくまで受け身であって、判断するのは「神」。拷問されて縛られて燃やされてまで貴方に尽くした人が望むものは、ただ「そっと」抱いて。
いいですか、自分だけを愛して!他の人を見ないで!あいつらを殺して!わたしを痛めた奴らに復讐して!……ではなく、「そっと抱いて」なのです。それだけで今までの全てが報われる。献身的で一途で美しい反面、狂信的で盲目的で歪んだ愛。なんと凄まじい人間描写でしょうか。はぁー!妄想がはかどるうぅ!
イラストでは、自分を縛っていた縄を炎が焼き、彼女を解き放ってくれます。同時に心の要だった小枝の十字架も燃え尽きる。裁きと救いが同時に訪れるわけですね。なぜなら、審判を下すのは神であり、少女自身でも執行者でもないからです。
涙が蒸発するほどの業火の中、それでも少女は目を見開き続けます。そんな彼女の目に映ったのは、湿った空から差し込む一筋の光。彼女は微笑み、「貴方が連れて行って」と、縄から解き放たれた両手をその光に差し出します。
最後のイラストは、「そっと抱いて」と望んだ少女が光に包まれ抱かれている描写にしました。両手を開いたその姿は十字架となり、迫害した人々の目にどう映るのか。神に祝福された聖女か、それとも磔にされた魔女か。
ですが、彼女の腰には審判の炎ですら焼けない鎖が残り、人々の頭上には変わらず重い城壁がそびえます。どれだけ生贄を捧げようとも、人は地を這い続けるしかない。特定の宗教は持っていませんが、もし神というものが在ったとしたら、それほど残酷な存在だと思っています。そういう価値観がこのようなラストになりました。う〜ん、見事な中二病ですねぇ、好き!
歌詞はここで終わりますが、続くアウトロも大変ドラマチックで、最後まで気が抜けません。kenちゃんのメロディアスな旋律が長く流れ続け、本当に凄い名画を観た後のエンドロールのような余韻を与えてくれます。ちなみに、二回繰り返す「抱いて」の間に、hydeさんがライブの時だけ歌う「Uh~uh~uh~♪」というアレンジ、す〜きぃ〜。
フェードアウトではなく、最後にyukihiroさんの「ずだだだ!ずだだだ!ずだだだだだん!」という渾身のドラミングと、「キイィィ~ン」というギターの残響で幕を引く演出。最後の最後までこだわり抜かれていてニクイですね!
これが死ぬまで僕を中二病から抜け出させてくれない、人生のフェイバリットソング「いばらの涙」でした!
余談ですが、これを聴いた高校生の頃、同じくらい学生生活を懸けてハマっていたものが漫画『ベルセルク』なのですが、これがまぁー、この「いばらの涙」の世界観にドンピシャなのです。いつか渾身の映像作品で使われる日が来るなら、安売りされずに大事に扱ってほしいですね。
長文最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m
また次回の詩画集もお楽しみ下さい!
(コメント頂けますと嬉しすぎて、天から舞い降りて悪戯に楽しみます♪)

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