【アニメレビュー】「劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」/映像と音楽が押し寄せる155分の超贅沢!

アニメ

【劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来】

  • 鑑賞日 2025/07/19
  • 公開年 2025
  • 監督 外崎春雄
  • 脚本 ufotable
  • キャスト 花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、上田麗奈
  • あらすじ 鬼になってしまった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため、鬼狩りの組織・鬼殺隊に入った竈門炭治郎は、同期の仲間である我妻善逸や嘴平伊之助とともに数々の鬼と戦いながら成長し絆を深めていく。炭治郎たちは鬼殺隊最高位の剣士である「柱」たちと共闘し、無限列車では炎柱・煉獄杏寿郎、遊郭では音柱・宇髄天元、刀鍛冶の里では霞柱・時透無一郎や恋柱・甘露寺蜜璃とともに死闘を繰り広げた。その後、来たる鬼との決戦に備えて、柱による合同強化訓練・柱稽古に挑んでいる最中、鬼殺隊の本部である産屋敷邸に鬼舞辻󠄀無惨が姿を現す。お館様の危機に駆けつけた炭治郎や柱たちは無惨によって謎の空間へと落とされ、鬼の根城である無限城での最終決戦に身を投じていく。
  • ジャンル 日本アニメ アクション ドラマ
  • 鑑賞媒体 映画館
  • お気に入り 〇(×、△、〇、◎の四段階)

感想

ついに公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、これはもう、一歩のデンプシーロールをずっと受け続けているような、承太郎のオラオララッシュをひたすら食らい続けているような、そんな圧倒的な熱量に押しつぶさる、最高峰の絵と音楽の暴力を浴びまくり続ける贅沢な155分間でした。これほどまでに長い時間をかけて一つの章を制作させてもらえるというのは、さすがは「鬼滅の刃」という巨大なコンテンツの力があってこそですよね。

映像のクオリティに関しては本当に文句のつけようがありません。特に無限城の奥行きや高さの表現は、漫画では決して描き切れない、映画という媒体だからこそ実現できた素晴らしい演出だったと感じています。

巨大コンテンツが背負った「失敗できない」という宿命

ただ、コンテンツとして巨大になりすぎてしまったがゆえの難しさが、ノイズとして見え隠れしておりました。

今やこの作品は、世界的にも興行的にも絶対に失敗が許されない、あまりにプレッシャーの大きなプロジェクトになってしまいました。その結果として、漫画の一言一句をそのまま映像化しなければファンに許されないような、そんな過度な制約が生まれてしまっているように思います。

本来の映画であれば、原作から必要な部分を抽出して再構築する「取捨選択」が行われるものですが、今作に関してはそういった作品選びの自由さが少し失われてしまったように感じました。原作を忠実に守るあまり、一本の映画作品としての独自の形を作り出すのが難しくなっている印象です。

テレビ放送を見据えた構成の弊害

また、これは大人の事情が透けて見えてしまった部分なのですが、後々にテレビで分割放送することを前提に、きっちり25分ずつの起承転結で区切って作られているのかな?それが悪いと決めつけるわけではありませんが、観ていて少し悲しくなってしまったのも事実です。

もしこの「テレビ分割」という縛りがなければ、劇場専用の作品として、いらない部分をサクサクと削ぎ落として、90分くらいの名作に凝縮することもできたのではないかと思ってしまいます。

現状だと、バトルがあってから鬼の回想に入るというお決まりの展開が三回連続で続くので、どうしても途中で少し飽きがきてしまうんですよね。一つひとつが一本の映画にできるほどの凄まじいクオリティなのに、猗窩座のパートに辿り着く頃には、どこか既視感を抱いてしまうのはすごく勿体なかった。

できれば作者の方に許可をもらって、時系列を原作から思い切って変えて、最後にある大きなクライマックスにすべての熱を集約させるような構成にできなかったのかな、と贅沢な願いを望んでしまう。週刊連載として毎週の盛り上がりを作らなければならない漫画の構成と、二時間という枠で一気に見せる映画の構成をそのまま同じにするのには、やはり少し無理があるのかもしれません。

漫画も大好きで、原作はスピード感を持って一気に楽しく読めました。だからこそ、映画もその速度感を大切にして、しっかり映画用として作れたなら…

映画でしか描けないドラマの形を求めて

映像自体は見応えがあって素晴らしいのですが、僕個人としては、ウェットな部分も少しクドく感じてしまい、おじさんが心の底から感動できるレベルの物語構成ではないのかな、というのが正直な感想です。そもそもお前は少年漫画のターゲティングから外れてるんだから、という事ではあるのですが、原作ではもうちょっとサラッと感動させてくれた記憶があります。

もちろん監督の裁量をすべて発揮するのは、この巨大コンテンツではとても許されないのでしょう。それでも、原作の「すべてを言葉で説明する」というテイストを、劇場版ではあえて「絵で魅せる」演出に作り替えてくれたなら、ものすごい感動が生まれただろうなぁ、と夢を見ずにはいられません。

漫画には漫画にしか描けないものがあり、映画には映画でしか描けない表現があります。アクションの動きや空間の広がりについては今作でも最高峰のものが見られましたが、同じようにドラマの部分でも、セリフによる説明に頼り切らない、動きのある映画ならではの表現を期待してしまいました。

それでもやはり、これは唯一無二の「お祭り」である

色々と難癖を綴ってきましたが、アクションの面に関しては間違いなく唯一無二の存在です。最終決戦に向けて加速していく、あの怒涛の戦闘シーンがこれからどう描かれていくのか、今から楽しみで仕方がありません。

そもそも「鬼滅の刃」という作品は、もはや既存の映画作品とは一線を画す、一つの巨大な「お祭り」のようなものです。なので、僕がここで語ったような構造的な批判などは、すべてせんないことでございます。

最終戦に向け、繰り広げられる熱い戦いを、最後までこの目で見届けたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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