【ナイトフラワー】
- 鑑賞日 2025/12/03
- 公開年 2025
- 監督 内田英治
- 脚本 内田英治
- キャスト 北川景子, 森田望智, 佐久間大介, 渋谷龍太
- あらすじ 借金取りに追われ、2人の子どもを連れて東京に逃げてきたシングルマザーの永島夏希(北川景子)は、明日の生活にも困る日々を送っていた。そんな中、夜の街でドラッグの密売現場に遭遇した彼女は、子どもの夢を叶えるため、自らも売人になることを決意する。心に深い孤独を抱える格闘家・芳井多摩恵(森田望智)とタッグを組み、さらに危険な取引に手を伸ばすが、ある事件をきっかけに運命は思わぬ方向へ転がり始める。
- ジャンル 日本映画 ドラマ ヒューマン サスペンス
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎
感想
四面楚歌、八方塞がり、絶体絶命、孤立無援…詰み、詰み、詰み。
救いの手もないそんな地獄の淵で、生きる為に悪事を働いたとして、何が因果で何が応報なのか。 どの口で自業自得だと責められるのでしょうか。
全編そんなことを考えながら、大変やるせない気持ちで鑑賞しておりました。
明日をも知れぬ極貧なのに、手に入ったあぶく銭で9万円するバイオリンを買ってしまうなど、生活保護申請するなり支援センター頼るなり、もっと賢い生き方があるだろう!と突っ込みたくもなりますが、目の前の事象しか見えず手を伸ばしてしまう気持ち、僕も経験あるのでとても共感できます。頭が働かないのです、余裕がないのです。
特に夜のお店でママが夏希にボトルを空けるよう促すのですが、それがニッカウヰスキーをストレートでロックグラスになみなみ一気…!
僕は昔一年間だけナイトパブでバイトした経験があるのですが、あの時のウイスキー一気飲みのノドの焼け付く感じ、トイレで痙攣しながら嘔吐する辛さ、臭い、総毛立つ気持ち悪さ、それらが一斉にフラッシュバックしました。
僕はその後家に帰って泥の様に寝ればいいだけですが、夏希はそうはいきません。
酒も抜けない中、存分に寝る暇もなく子供二人の世話に家事に昼間のパート仕事…
長男は恐らく何か障害があるのかもしれません。多動症で言うことを聞いてくれない、幼稚園でもお友達を玩具で殴ってしまう子。夏希も本当なら24時間一緒にいてあげたいけど、生活の為にそうもいかない。
まさに頭が働かない、余裕がない、先のことなんて考えられない、無間地獄です。
それらの描写をことさら大げさにお涙頂戴に描くわけでもなく、淡々とリアルに伝えてきます。
夏希も「私かわいそうでしょ?」という自虐キャラではなく、なんとかもがき、あがき、現状を打破しようとする強い女性です。
でも、だからこそ、逆に観る側に強烈にその現実が突き刺さる。
場を和ませるはずの関西弁が、尚更悲壮感を強める。
どうしても餃子が食べたい息子に、ゴミ捨て場で拾ってきた弁当を食べさせる時の情けなさ。
ボロボロの体で帰宅した時に、長女が具無しオムライスを作って待っててくれた時のやるせなさ。
ガスも止まった、借金取りの電話も鳴りやまない、パート先でセクハラしてくる上司、支援の窓口も助けてくれない、息子が怪我をさせてしまった相手への慰謝料も払わなければいけない…
だからこその、それらを経ての、どうしようもなくなった上での、悪事に手を染める説得力!
それが冒頭の「どの口で自業自得だと責められるのでしょうか。」に繋がります。
悪い事は悪い事だから、もちろん許しちゃいけないのだけど、ではその手前で、自分にできることは何もなかったのだろうか、と考えざるを得ません。
そんな自問自答をさせてくれる、深くやるせない映画でした。
そして何より忘れちゃいけないのが、森田望智さんの役作りのすさまじさ!
ファイティングポーズのサマになりすぎてる事、なりすぎてる事!
全裸監督の頃に比べて、首回りも胴回りも何倍太くなっているのでしょうか。
口の中が切れて常に痛いのでしょう。モノを食べる時に歯を立てて「カチィッ」って食べる所作、僕も一度口内炎が三つ同時にできた時にそう食べてたのでよくわかるぅぅぅ(泣)
総じて全体説明しすぎず、目をこらして頭をフル回転しないとわからないことも多く、ラストも見る手に解釈を委ねる作り。
人を選ぶ作品だと思いますが、僕は観て良かったと思えた一本です!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんの感想も、ぜひお聞かせください!


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