浅い眠りの中で君を想う、色褪せない旋律の記憶
遠い部屋で 君に会ったよ
会話のひとつも 思い出せないけど

そっと 手をのばし
ふれてく瞬間

また君は
何処かへ 消えた

感覚だけ 木霊してる
不思議なくらいに 気配を感じて

浅い眠り 淡く揺られ

あの日のように 無邪気な君が
両手にあふれる 安息を優しく奏で

そばにいる 夢を見た
君の夢を見た

イラストの解説/曲の感想
HYDEさんの記念すべき1stソロアルバム「ROENTGEN」。その中でもBEST3に入る僕の大好きな曲「shallow sleep」、意味は「浅い眠り」。
ノンレム睡眠が中心の状態で、疲れてたりするとなる夢うつつな状態。HYDEさんの情緒溢れる世界観が見事に表現された、彼岸と此岸を行き交う楽曲です。
この歌を聴くと僕は亡くなった猫ちゃんを思い出します。ってかHYDEさんの歌詞で愛猫を思い出す率めっちゃ高いです。それだけ普遍性があり、誰しもが胸に秘めてる大切な人を想起させる歌詞なのですよね。
悲しみがピークの時は、夢か現実かわからない状態でよく猫の夢をみていたものです。始めは夢の中で夢と分かっているのに、気づいたらそれが現実かのようにのめり込んでて、目が覚めた瞬間に絶望するあの感じ。だけどもそんな感情を優しい調べで包んでくれる曲。そんな景色をイラストにしてみました。
イラスト一枚目の女性は、自室ではないどこか「遠い部屋」で微睡んでいます。とても現実味のない場所で、側にはいるはずのない「君に会った」。すぐにでも飛び起きて抱きしめたいのに、身体が重く、とてつもない眠気にどうしても勝てません。何か君に話しかけた気がしますが、「会話のひとつも思い出せない」ほど曖昧で泡沫の様な空間でした。
イラスト二枚目。霧がかる頭を必死に起こし、なんとか「そっと手を伸ばし」「ふれてく瞬間」、「また君は何処かへ消えた」。また君は、とあるように、彼女はこの様な夢を何度も何度も見ているのでしょう。消える瞬間、君は心配そうに何度も振り返った気がします。
イラスト三枚目。重力が戻り、彼女は現実の自分の部屋にいると気付きます。手を伸ばしたまま、まだ微睡んでいますが、先ほどの出来事は夢だったのだと、「感覚だけが木霊し」絶望と共に目が覚めて行く。いつもの見慣れた家具、見慣れた間取り、違うのは君がいないという現実だけ。ちゃんと寝室で寝ることもできず、ソファーで気絶するように眠りにつく日々。ただ、カーペットには去り行く君の足跡が残っていて、「不思議なくらいに気配を感じて」います。いつまでも悲しみから抜け出せない飼い主を、毎晩心配しに来てるかのように。
イラスト四、五、六枚目。「浅い眠り」に「淡く揺られ」、微睡んだ目線の先、伸ばした手の先には、もう少しで触れられそうな君の遺影。その写真は「あの日のように無邪気な君が」「両手にあふれる安息を優しく奏で」こちらを眺めている。供えた花も穏やかに安らかに揺蕩んでいる。写真も花も、元気を出して、と微笑んでいるかのよう。
まだまだ彼女の悲しみは癒えないし、せめて夢の中でまた君に逢えるよう、再び目を閉じます。いまだ君のいない世界は「there is no colour(色彩がない)」「A colourless landscape(彩りのない景色)」のままだから。
でも何度もこの浅い眠りを繰り返すうちに傷は癒え、その「駆け出して行く想いは、何処かで君に会えるような予感」がする。それまでは、「そばにいる夢を見た」「君の夢を見た」を繰り返そう…
この様な心象風景で、イラストを描きました。ほんとこの曲を聴くと、あの頃の何度も何度も微睡んでは覚醒し、を繰り返してた日々を思い出します。HYDEさんは誰を想い浮かべながら、この曲を作ったんでしょうね。「evergreen」は亡くなったお友達の事を書いた、と聞いたことがありますが、この曲もそうなのでしょうか。なんであれ、この様な耐えがたい喪失感を、ふわふわした夢幻の様なメロディーと、情緒溢れる歌詞で表現できるのは相変わらずとてつもない才能です。アルバム全体に死と生のテーマが色濃く出ていて、大変に僕好みのテイストです。
ストリングスが滅茶苦茶綺麗で、ヴァイオリンの旋律がとても美しい曲なのですが、意外にジャジーというかボサノヴァ調というかPOPな打音が所々入っているのが面白い。ストリングスだけだと明晰夢感が薄く、コントラストが重いゴシック世界になりそうな所を、先ほどの軽快な音を入れることによって「浅い眠り感」が見事に漂う。特に「ROENTGEN」全体が重く重く、荘厳な世界観だから尚更この曲が浮き立ちますね。
イントロのアルペジオからもう、「遠い部屋で君に会ったよ」というくすんだ世界観に惹きこまれます。現実と夢の間に薄いヴェールが流れている様な、向こうが透けて見えるそんな雰囲気。「そっと手を伸ばし」あたりから前述した、シャカシャカシャンという、一見場違いなマラカスの様な音が入るのですが、これがもの凄く白昼夢感を表してていいんですよねぇ。「TIME SLIP」に近い印象です。
でも「浅い眠り淡く揺られ」のサビに入ると、鳴りを潜めていたストリングスが前面に出て来て、ググっと高級感が増します。Aメロの揺蕩う浮遊感から、一気に切ない旋律に変遷し、「そばにいる夢を見た」という焦がれても焦がれても叶わない、切ない想いが伝わってくるメロディーに。
「そっと目を明けて」のブリッジに入ると、またポン♪パン♪ポン♪というヴァイオリンのピチカートが入ってきてこれも最高に面白い。見世物小屋というか、シルクドソレイユの様な摩訶不思議感が醸し出されていて、目を開けたのにそこが夢か現実かわからない、うろんな状態が目に浮かぶ。
でも「there is no colour(色彩がない)」「A colourless landscape(彩りのない景色)」の深刻な歌詞と共にその音は消えて、ヴァイオリンが底から表れ、グググーっとシリアス度は増し、大サビに繋がるのです。HYDEさんではなくアレンジャーさんのお仕事かもしれませんが、とにかくすごい、お見事です!
そこからの大サビはストリングスの方々の独擅場!HYDEさんには失礼ですが、インストだけで白米三杯行けます!それくらい、ここのバックに流れるヴァイオリンの旋律は本当に泣ける。そのまま浮遊感と非現実感を抱えたまま曲は終わります。
この曲を初めて聴いたのは20歳前後だと思うのですが、正直当初はあまり良さが分かりませんでした。まだまだ耳もガキンチョだったので、「花葬」や「いばらの涙」の様なもっとわかりやすい派手な歌ばかり聞いておりました。でも年を経て、色々な別れを経験する内に、ある日この曲をたまたま聴いた時、滅茶苦茶刺さったのですよね。あれからスルメの様に、聴けば聴くほど味が出てどんどん好きになっています。
HYDEさんもこの先落ち着いたライブをしていきたい、と仰られているので、この曲をオケコンで聴けるのを、とても楽しみにしております。
長文最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m
また次回の詩画集もお楽しみ下さい!
(コメント頂けますと嬉しすぎて、浅い眠りから飛び起きます♪)


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