【岸辺露伴は動かない 懺悔室】
- 鑑賞日 2025/05/29
- 公開年 2025
- 監督 渡辺一貴
- 脚本 小林靖子
- キャスト 高橋一生、飯豊まりえ
- あらすじ イタリアにやってきた人気漫画家の岸辺露伴。彼はそこで、「幸せの絶頂の時に最大の絶望を味わう」という呪にかけられた男性に出会う。
- ジャンル 日本映画 ホラー ミステリー サスペンス
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り 〇(×、△、〇、◎の四段階)
感想
溢れる「駄目実写化」というのは、どれだけ制作費をかけて、どれほど忠実なセットを組んだり仮装したりしても、結局は漫画を「再現」しているだけに過ぎないと思っております。でも、この制作陣は、演技、画角、余白、音楽、そして物語の噛み砕き方とセンスでもって、見事に「BIZARRE ADVENTURE」を「表現」しているんです。なんとも、すばらしぃじゃあないか!!
幸福を拒絶する、最も過酷な呪い
ジョジョは僕も青春時代に夢中で読みましたし、これまでに沢山のスタンド能力を見てきました。でも、今回の「幸せになってはいけない」という力は、一番きついのではないでしょうか。これは流石に、最強の承太郎ですら勝てないでしょうし、結局は幸せを追求しているディオだって敵わないはずです。特に穏やかで幸せな毎日を望んでいる吉良吉影なんて、一番相性が悪いじゃあないですか(笑)こわっ! URYYYYYY!!
でも、この感覚は僕にはとてもよく分かるんです。僕は「幸せには総量がある」と思ってしまうネガティブタイプなんですよね。
なので、穏やかな毎日が続くと「大地震が来てしまうのではないか」と不安になりますし、大吉が出ると後半不幸になりそうだからおみくじは引きません。一等が当たると人生が破綻するだろうから宝くじも買わないんです(笑)。
これは不測の事態が起きた時に、即行動がとれるための防衛本能らしいですけど、だからこそ、この物語は「わかるー!」と思いながらとても楽しめました。
ヴェネチアの澱みと高橋一生の親和性
そんな呪いの物語と、かつてペストが大流行したヴェネチアという舞台の親和性が、作品にさらなる深みを増しています。高橋一生さんとヴェネチアが、まあ絵になりますね。
ヴェネチアといえば、大体は綺麗な青空と美しい海の絵面になることが多いと思うんですけど、ジョジョらしい重苦しい曇天とくすんだフィルターがとてつもなく合います。ヨーロッパはどす黒い歴史も多いですし、キリスト教の重く厳しい荘厳な雰囲気もあるので、それが岸辺露伴の世界観に大変マッチしています。
また、相変わらずコスプレ感を出さずに、現実世界にありそうなファッションにしているバランスも素晴らしいです。あの外連味溢れる荒木ワールドと、その中でも特に癖が強い岸辺露伴を、このリアリティで映像化できているのは、本当に大発明ですよ。
ただ、前半の原作オリジナル展開は抜群に面白かったのですが、後半の映画オリジナル部分は、少々予定調和というか、ジョジョの世界観からテレビドラマの『世にも奇妙な物語』レベルになってしまったかな、という印象も少し受けました。
自分の中に潜む「幸福への警戒心」
僕にとってこの作品は、単なるエンターテインメントを超えて、自分の中に潜む「幸福への警戒心」を肯定してくれたような気がします。
幸せなことに恐怖を覚える自分の性格を、どこか冷めた目で見ていた部分もありましたけど、露伴の物語を通じて、それもまた一つの生きるための知恵なのだと感じられました。
美しいヴェネチアの影に潜む澱みを見つめながら、自分の人生にある「光と影」のバランスを、もう少しだけ素直に受け入れてみようと思わせてくれる作品でした。今後の映像化も大変に楽しみです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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