【映画レビュー】「ゼイ・ウィル・キル・ユー」/悪魔崇拝だぁ?殺されるのはアンタ達よ‼

映画

【ゼイ・ウィル・キル・ユー】

  • 鑑賞日 2026/05/09
  • 公開年 2026
  • 監督 キリル・ソコロフ
  • 脚本 キリル・ソコロフ、アレックス・リトヴァク
  • キャスト ザジー・ビーツ、パトリシア・アークエット、マイハラ、トム・フェルトン、ヘザー・グラハム、パターソン・ジョセフ
  • あらすじ 過去を持つ女性エイジア・リーブスは、ニューヨークの超高級高層マンション「バージル」の住み込みメイドの求人に応募します。しかし、そこは裕福な住人たちが集う狂信的な悪魔崇拝者たちの巣窟でした。彼らは月に一度、メイドを生け贄に捧げる儀式を行っていました。エイジアは、数年前にこのマンションで行方不明になった妹マリアを救い出すため、そして自分自身の生存をかけて、ショットガンやナイフ、斧を手に、武装したカルト集団との壮絶な戦いに挑みます。
  • ジャンル アメリカ・南アフリカ・カナダ映画 ホラー アクション コメディ
  • 鑑賞媒体 映画館
  • お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)

感想

予告編を見た時点で「カルト集団が住むマンションに乗り込む刑務所上がりのメイド」という設定に、こんなの面白いのほぼ確じゃん!と公開を楽しみにしていました。かなり予想とは違う方向に話は進みましたが、抜群に面白かったです!

ラノベ風タイトルにするとしたら「ゼイ・ウィル・キル・ユー? いいえ、殺されるのはあなたたちです。〜間違えて戦闘メイドを雇ってしまったカルト教団の末路〜」でしょうか(笑)。

映像と音楽が織りなす「外連味」の極致

前途したように、予告を見た段階では、シンプルに悪魔崇拝者達のマンションに迷い込んだメイド、というお話かと思ったのですが、途中で殺したはずの敵が蘇り、ファンタジーに物語の舵を切られます。なるほど!これはこれでアリやんす、めちゃくちゃワクワクしました。殺しても殺しても復活するという設定を存分に活かし、主人公が敵を殺しまくるアクションが爽快です。

敵であるヘラーが「何回殺すのよ!」と叫ぶ場面は思わず吹き出してしまいました。話のオチなどは予定調和というか、早くに読めてしまう作りではあるものの、そこがウリの作品ではないので無問題、それまでのスプラッターとアクションで十分お腹一杯です。

そして何より、監督のセンス!どこかアナログ感のある懐かしい構図でありながら、重低音の効いた音楽をバチバチに当てはめて、これがまぁー見事にアクションとハマっていて超気持ち良いです。スタイリッシュでおしゃれな動きというよりも、タランティーノ味のある泥臭いレトロなカメラワークで、それでいてちゃんと現代のセンスにチャンネルを合わせた絶妙な外連味があります。いちいちアップになってズギャーンと鳴る効果音とか最高!

あと、また一つ「タイトルバックが完璧な映画」シリーズに一本追加です。主人公がシャワーを浴びている時に、その湯気で曇った鏡に浮かぶ文字「ゼイ・ウィル・キル・ユー」おっしゃれ~!かっくいいー!

縦空間のマンションが舞台なのに、横長構図を多用しているのも面白い。迷路のような排気口など、一つ一つボスを倒しながらステージをクリアして行く構成は、この監督絶対にゲームが好きでしょ。こちらの自機は一なのに、向こうは無限大だなんて、エルデンリングも真っ青な無理ゲーです。この絶望的な状況でどうサバイブするのか純粋にドキドキするし、ラスボスの演出なんかゲームそのもので、そのままプレイ画面に移行しても違和感のない痺れるバトルでした。

恐怖と笑いの絶妙なバランス

『ガンニバル』の柳楽優弥くんもそうですが、本来逃げ回るはずのホラー映画の主人公が「実は強い」というパターンはめっちゃ好きです。主人公であるザジー・ビーツさんの唯一無二の野性的な魅力とみごとに絡み合って、場面場面の格好良さを超ブーストしています。

僕はグロいだけじゃない、怖いだけじゃない、サム・ライミ監督のように、ホラーの中に相反する「笑い」を入れる監督がだいだいだい好きです!今作もまぁーそこら中に笑える箇所があって、全編夢中で観ることができました。

狭い通路を四つん這いになって追いかけっこするシークエンスなんて、ビジュアルだけでも怖おもろいのに、そこに歩幅と同じビートを合わせた、ズンズン系の音楽を合わせるものだから、最高に笑えてスーパーイカした仕上がりになっています。小刻みにナイフでサクサクサクサク!と敵を刺しまくる笑いも初めてで新鮮でした。相手は死なないながらも痛みは感じるわけなので、刺されながら「ぎぃやあぁぁ!」とちゃんと痛がっているのがめちゃくちゃおもろい、腹痛い(笑)『浦安鉄筋家族』に通じる笑いの種類でした。

スプラッターとファンタジーの融合

他にも、斧に炎をつけてバッタバッタ敵を倒す集団戦や、ショットガンで頭を吹き飛ばすパリィカウンターなど、いちいち見栄えする画角と同時に、かっちょいいズンズン系の音楽が流れるので全編鳥肌鳥肌です。恐らくカメラレールじゃなく、徒歩で行っているであろうブレるズームやアウトもアナログ感があってイカします。真横からの構図を多用したり、今の時代だからこそセットで魅せるぜ!という気概を感じましたね。

そういう意味では、スタントを使わずアクションをやりきったザジー・ビーツさんは素晴らしいです!体中を走るしなやかな筋肉とほとばしるワイルドなエネルギーが本当に格好良かった。でもグサグサ刺されるしボコボコ殴られるし、決して無双するわけではなく、無為に強い人ではないので、ちゃんとスプラッターですし、ちゃんとホラーしてます。このハラハラ具合と爽快感とのバランスが見事でした。これがジェイソン・ステイサムだったら、こんなドキドキは味わえません。

最後の悪魔のビジュアルに関しては、下手なものを出すと一気に陳腐になるなぁと心配しましたが、豚の頭にしたのは良かったです。シンプルにかっこよかった。欲を言えば、クライマックスの敵の大将たちにはもっとエグい死に方をしてほしかったなと思います。100年間も罪無き生贄をさんざ殺して来たのだから、不老不死を利用して永遠に焼かれ続けるとか、もっと罰が当たるラストが見たかったところでしたね。

才能あふれる新星への期待

ほとんど名前を聞いたことがないキリル・ソコロフ監督ですが、バッチバチに構図も決まっているし、音楽のセンスも最高ですし、アクションはかっこよくて、笑いのツボも素晴らしい。次回作がめちゃくちゃ楽しみです!

色んなジャンルの映画がある中、この様にカッコよくて怖くてグロくて笑える映画も作ってくるのは本当にありがたい。ジェットコースターを乗り終わった時の様な爽快感、あー、楽しかったー!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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