【珈琲いかがでしょう】
- 鑑賞日 2025/06/12
- 公開年 2021
- 監督 荻上直子
- 脚本 荻上直子
- キャスト 中村倫也、夏帆、磯村勇斗
- あらすじ 移動珈琲店を営む主人公・青山一が、行く先々で様々な悩みや問題を抱えた人々と出会い、丁寧に淹れた一杯の珈琲と優しい言葉で心を癒していく、心温まる物語です。
- ジャンル 日本ドラマ ドラマ グルメ
- 鑑賞媒体 Amazon Prime Video
- お気に入り 〇(×、△、〇、◎の四段階)
感想
中村倫也さんのドラマや映画は比較的見ている方なのですが、彼の演技は本当に好感が持てて、観ているとホッとしますね。今作はまさに、そんな彼の魅力が駄々洩れになっているドラマでした。
原作が漫画ということもあって、一つ一つのエピソードが上手く珈琲と絡められています。「座布団一枚!」と言いたくなるようなお話が、読み切り形式でテンポよく展開されていきました。
一杯の珈琲に宿る不思議な魔力
劇中では、いがみ合っている二人を交じり合って完成するブレンドコーヒーに例えたり、「カフェオレは脇役じゃなくて主役になれるんですよ」と語りかけたり。都度、登場人物たちの悩みを珈琲の知識とともに解決していく様子は、観ていてとても爽快です。
僕も仕事中は毎日珈琲を飲みますし、年齢を重ねるにつれてお酒の量が減ってきた今、アルコールよりも人生における重要度が高くなってきています。もし「一生お酒か珈琲、どちらか飲めなくなるならどっちを選ぶ?」と言われたら、今の僕なら迷わず珈琲を選んでしまうほどです。
ですから、登場人物たちが一杯の珈琲に人生を救われたりするのは、決して大げさなことではなく、その気持ちは本当によく分かります。珈琲には、それだけ不思議な魔力がありますよね。個人的には、カレー屋さんが出てくるお話で、カレーの後に飲む珈琲の美味しそうな描写には、もうたまらない気持ちにさせられました。
乱高下するリアリティラインへの戸惑い
物語はそんな風に、ちょっとファンタジー路線で穏やかに進んでいくのですが、一方で「縦軸」として主人公の過去に何があったのかが同時進行で描かれます。ところが、こちらが中々にリアル志向というか、バイオレンスな描写もあったりして、この食い合わせには少し驚かされました。
現在の移動販売パートでは、サラリーマンの加齢臭の悩みを解決したりしているのに、過去パートでは人が死んだりと、リアリティラインがガックンガックンと乱高下するんです。このバランスについては、正直なところ賛否が分かれそうだなと感じました。
個人的には、その反社パートが少し眉唾ものというか、フィクションとしての不自然さを感じてしまい、ノイズになってしまった部分もありました。特に社長の息子が登場するあたりからは、完全にフィクション色が強くなってしまったのが残念だったかもしれません。漫画では違和感なく見れるものが、実写ではどうしてもキツく感じでしまいます。
もしこのパートを物語に組み込むのであれば、死の重さをより真剣に、そしてアングラの厳しい世界をもっと徹底して描いてほしかったです。「指を詰める」といった描写も、どこか物語の舞台装置としてしか機能していないように見えて、没入しきれないところがありました。
二人の中村倫也、その光と影
僕はてっきり、人々の悩みを真摯に解決していく中で、主人公の内面の深さが徐々に明かされていく構成だと思っていたので、この路線変更には意表を突かれました。
ただ、穏やかで優しい中村さんと、過去の荒々しい中村さんの「両輪」を堪能できるという意味では、ファンの方々にとっては大正解な演出だと思います。金髪の中村さん、めちゃくちゃ格好いいですからね!
もし欲を言わせてもらうなら、反社部分の描写よりも、ホームレスである「たこさん」から珈琲の技術を伝承される過程や、そこで描かれる「生きることの悲哀」の方に重点を置いてほしかったです。そうすれば、もっと深い感動を得られたのではないかな、なんて思ってしまいました。
無性に珈琲が飲みたくなるドラマ
色々と細かい部分で気になるところはありましたけど、中村倫也さんの佇まいと、珈琲が持つ癒やしの力に救われる良質なドラマであることは間違いありません。
日々の仕事に追われて少し疲れている時、丁寧に淹れた珈琲を片手にのんびりと眺めるには、これ以上ない一作だと思います。自分だけの一杯を淹れて、中村倫也さんを眺める極上の時間でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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