【映画レビュー】「スーパーマン」/SNSやフェイクニュースに翻弄される新生スーパーマン

映画

【スーパーマン】

  • 鑑賞日 2025/07/23
  • 公開年 2025
  • 監督 ジェームズ・ガン
  • 脚本 ジェームズ・ガン
  • キャスト デヴィッド・コレンスウェット、レイチェル・ブロズナハン、ニコラス・ホルト、イザベラ・メルセード、ネイサン・フィリオン
  • あらすじ DCユニバースの新たな始まりとなる作品で、スーパーマンが地球に降り立ち、ヒーローとして成長していく姿を描く。
  • ジャンル アメリカ映画 SF アクション
  • 鑑賞媒体 映画館
  • お気に入り △(×、△、〇、◎の四段階)

感想

おじさんはなんでもドラゴンボールに例えてウザい、という若い人の声が聞こえてきそうですがすみません!侵略目的で地球に送り込まれた戦闘民族サイヤ人。けれど、拾ってくれたおじいちゃんのおかげで心優しく育った孫悟空……。今回観てきた『スーパーマン』を端的に説明すると、まさにそんなお話でした。

まずは何と言っても、全米同時公開。ああ、なんて良い響きなんでしょうか。業界の詳しいからくりは分かりませんが、本当に全作品が同時公開であってほしいものです。『ウィキッド』の後編なんて公開が遅すぎて、ほんと泣きそう。

僕はDCにもスーパーマンにもほとんど予備知識がない状態で鑑賞したのですが、幼少期に「スーパーマンが地球を自転と逆方向に回転させて時間を巻き戻す」という描写を見て、「発想がめちゃくちゃ面白いな!」と衝撃を受けた記憶だけは鮮明に残っています。

現代の「心のスキマ」とSNSの暴走

今作は、ザック・スナイダー監督時代の「暗く重厚な」路線から一転して、明るく希望に満ちた原点回帰を目指しているそうです。

新星デヴィッド・コレンスウェットが演じるクラーク・ケントは、誠実で優しく、どこか親しみやすい「隣の好青年」感が良かったです。ヘンリー・カヴィルの神々しさとはまた違う、人間味あふれる「ボーイスカウト」的なヒーロー像の復活は、先ほど記述した初代スーパーマンのお気楽さに繋がる懐かしさがありました。

ただ、そんな超パワーを持つスーパーマンであっても、現代のSNSの前では打つ手なし、という描写が非常にリアル。これこそ令和に悟空が降り立ったら、どんなムーヴをしたのでしょうね。

レックス・ルーサーがSNSやネット動画を駆使してスーパーマンの世論を操作していく様子は、2020年代のネット社会の危うさを物語に上手く組み込んでいました。移民排斥やフェイクニュースといった今の社会問題が盛り沢山で、それを程よいライトさで描いています。

ただ、ヒーローものと社会問題のリアルの相性は今までもうまく機能してきたと思いますが、そろそろ食傷気味で、「そういった問題を軽々と吹っ飛ばしてくれるヒーロー」という姿も見たくなってきましたね。

正論だけでは救えない、力を持つ者の葛藤

上記でも述べた通りちょっとアメコミヒーローものに食傷気味な中、そのヒーロー自身に強い興味がない場合、相当なプロットがないと前のめりで楽しむのは難しいのが正直なところです。「じゃあ見るなよ」という話なのですが、ヒーローものであっても普遍的な物語を描く傑作はありますから、そこを期待して劇場へ向かいました。多分わざわざお金を払って映画館で観ないと、配信では見ないと思いました。

今作において描かれているのは、アメリカとイスラエルの関係を意識したような描写や、「強い力を持っているが故の行使の方法」という現代的なテーマです。

特に作中で「強力な力を持っている場合、介入する時は慎重になるべきだ」という超正論に対し、クラークが「目の前で人が死にかけていたんだ!」と答えるシーンは非常に考えさせられます。

慎重に傍観し続け、正論を述べるだけではだけでは救えない命がある。これは今の世界情勢をそのまま表しているようですし、スーパーマンを「核兵器」とするならば、その扱い方の審議を最終局面まで突き詰める時代が来ているのでしょう。

また、昔見たスーパーマンは彼一人だけがヒーローだった気がしますが、この世界線には他にもヒーローがいるのですね。唯一無二の最強ヒーロー(=アメリカ)が、今は他のヒーローの力を借りないと地球を守れないという図式も、非常に興味深く感じました。

「親ガチャ」を超えた先にある、自ら選ぶルーツ

人間の善悪を決定づけるのは血筋や生まれではなく、出会った人々との絆なんだという希望に満ちたメッセージは素晴らしかったです。悟空もスーパーマンも、最初に出会った地球人が優しい人で本当に良かったですよね。ある意味、これは「親ガチャ」問題にも通じる部分かもしれません。

クリプトン星の両親と、地球の両親。二つのルーツの間で揺れ動くクラークが、最終的に「自分が何者であるかを選択する」という結末には、普遍的な共感を覚えました。

もちろん、国際紛争への介入といった重いテーマに対して、最終的に道徳的な正論で解決してしまう展開には、政治的な複雑さを描ききれていないとは感じました。正直、このテーマをスーパーマンという皮を脱いでも楽しめるかと言われると、少し物足りなさを感じる部分もあります。

とはいえ、今の時代にこの「明るいスーパーマン」を観られたことには、とても癒された一作でした。次は映画館で観るかどうか、非常に悩ましい出来ではありましたがねぇ…


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