【映画レビュー】「変な家」/「間取りの謎」という極上のフリが、後半の「因習」に食われてしまった悲劇

映画

【変な家】

  • 鑑賞日 2025/6/13
  • 公開年 2024
  • 監督 石川淳一
  • 脚本 丑尾健太郎
  • キャスト 間宮祥太朗、佐藤二朗、川栄李奈、
  • あらすじ オカルト専門の動画クリエイター・雨宮が、読者から送られてきた一枚の間取り図に隠された謎を解き明かそうと、ミステリー作家の栗原とともに調査を進めていく、という物語です。
  • ジャンル 日本映画 ホラー ミステリー サスペンス
  • 鑑賞媒体 Amazonプライムビデオ
  • お気に入り △(×、△、〇、◎の四段階)

感想

原作小説は未読のまま、配信での鑑賞でした。最初からそこまでハードルを上げていなかったこともあり、「まあ、それなりには楽しめたかな」というのが正直なところです。でも、映画館で観ていたら、評価はもっと厳しくなっていたかもしれません。

「間取り」のパートは最高に面白い。

前半の「間取りを調べていくパート」は、文句なしに面白かったんです。

殺し屋の家族が住んでいて、来客の間と子供部屋が繋がっている。夜中に子供がその通路を通ってターゲットを仕留めているのではないか……。設定だけ聞けばかなり荒唐無稽なんですが、絵作りが上手いので、スッとその狂気の世界を信じさせてくれる説得力がありました。

主人公が徐々にのめり込んでいき、実際にあの家に侵入するまでの流れは、最高にワクワクしましたね。図面という確かな証拠からロジカルにミステリーを組み立てていく過程は、自分も一緒に謎解きに参加しているような新鮮な楽しさがありました。

置き去りにされたリアリティライン

ところが、物語が村の因習へと繋がっていく段階で、急にリアリティラインがガクンと下がってしまい、置いてきぼりを食らってしまいました。

特に終盤の「左手を切断する」という風習。これが全く説得力がないというか、とってつけたような設定に感じられてしまったんです。僕は土着信仰系のホラーは大好物のはずなのですが、今作に関しては、前半の「都会的な間取りミステリー」と後半の「田舎の因習ホラー」の食い合わせが、どうしても悪く感じられました。

この結末に向かうのであれば、前半にもっと周到な伏線を撒いておいて欲しかった。あまりに展開がぶつ切りで、唐突に別の映画が始まったような感覚に陥ってしまったのが、なんとも勿体なかったです。

フリがオチを喰ってしまったという問題

最大の問題は、前半に推理された「シリアルキラーが設計した歪な家」の方が、後半の「村の因習」よりも遥かに怖かったという点に尽きると思います。せっかくの素晴らしいフリが、オチによって弱体化してしまっているんです。

因習を語るなら、その土地の歴史や風俗、そこに住む人々の価値観や信仰を、相当丁寧に積み上げてくれないと、その恐ろしさは伝わりません。

たとえば、理由もなく人食い族に襲われたとしても、それは「クマに襲われた事故」と変わらない印象で終わってしまいます。「なぜその一族は人を食べるのか」「食べるに至った歴史は何なのか」「脈々と続くその土着の信仰とどう絡むのか」などの詳細なプロットがあって初めて、観客は文化の断絶による本当の恐怖を体験できるのだと思うのです。

映像はリッチ感があって良かった

映像自体はとても綺麗で、全体に漂う重苦しい空気感には高級感すらありました。それだけに、構成のアンバランスさが際立ってしまったのが残念でなりません。

配信での視聴だったので、なんとか「△」くらいの評価で着地できましたが、映画館の料金で真剣に対峙していたら、もっと納得いかない部分が目立っていた気がします。

設定の面白さが際立っていただけに、もう少し一つの軸で突き詰めた物語が観たかった、というのが本音な一作でした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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