【映画レビュー】「ザ・モンキー」/その猿が太鼓を叩くと、人が死ぬ。理不尽で「フレッシュ」な死の祭典

映画

【ザ・モンキー】

  • 鑑賞日 2025/09/24
  • 公開年 2025
  • 監督 オズ・パーキンス
  • 脚本 オズ・パーキンス
  • キャスト テオ・ジェームズ, イライジャ・ウッド, クリスチャン・コンベリー
  • あらすじ 双子の兄弟が、屋根裏部屋で古いおもちゃの猿を発見する。そのおもちゃの猿には、不気味な呪いがかけられており、猿が動き出すたびに、彼らの周囲で恐ろしい出来事が起こり始める。
  • ジャンル アメリカ映画 ホラー サスペンス
  • 鑑賞媒体 映画館
  • お気に入り 〇(×、△、〇、◎の四段階)

感想

「その猿が太鼓を叩くと人が死ぬ!」

そんな、あまりにもシンプルで不吉な導入から始まる本作は、さらっとライトに観られるスプラッター・ホラーの佳作でした!

「理不尽」という名のエンターテインメント

本作の根底にあるのは、「死とはこれくらい理不尽に振りかかるものである」という価値観です。

クライマックスで描かれる大量死は、ある種の災害や戦争のメタファーのようにも感じられます。そうした重いテーマになりかねない「理不尽な死」を、あえてコメディとして笑い飛ばし、軽く描き切るセンスが実にいいですね。

個人的には、怪異の根源や因果関係がはっきりしているホラーが好みなのですが、今作の「猿の玩具」に関しては、そのルーツに一切言及がありません。それがキリスト教的な価値観なのか、あるいはスティーヴン・キング独自の特色なのかは分かりませんが、「猿の正体なんてどうでもいい。とにかく死は理不尽に、誰にでも平等に訪れるのだ」という潔い割り切りは、嫌いではありませんでした。

とにかく死が軽くて、不謹慎ながら「フレッシュ(笑)」なのです。

恐怖を和らげるシニカルな温度感

恐怖をかなり薄め、コメディと「死の大喜利」の塩梅が程よく調整されていたのも好印象です。
劇中のキャラクターたちが、人が死んでも叫ばない、パニックにならない。息子も含めて全編を通して淡々と、シニカルに物語が進んでいく。この温度感も僕の好みにドンピシャです。

また、本作はある程度グロテスクではあるものの、不思議と「痛そう」ではないため、気軽に見ることができます。ほとんどの人が、何が起きたか分からないままサクッと一瞬で逝ってしまう。
『SAW』のように執拗な拷問があったり、生きたまま棺桶に埋められたりする系統に比べれば、ある種「救い」とも言える人生の終わり方かもしれません。ああいう「じわじわくる怖さ」に比べれば、エンタメとして非常に鑑賞しやすい作りでした。

期待した「カタルシス」とは別の魅力

正直なところ、『ファイナル・デスティネーション』級のピタゴラス・デス・スイッチを期待していた身としては、もう少し問題解決の法則性やカタルシスが欲しかったかな、という思いもあります。

強烈に印象に残って深く刻まれる映画、というわけではなく、いずれは忘れていく類のものかもしれません。けれど、こういう「死」をライトに消費させてくれる作品も、今の時代にはありがたい存在です。

深いことは考えず、猿の太鼓に合わせてテンポよく訪れる「理不尽」を楽しむ。そんな楽しみ方が最適な一作でした。


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