【アニメレビュー】「ナタ 魔童の大暴れ」/圧倒的映像美と彼の国が描く異種間融和という驚き!

アニメ

【ナタ 魔童の大暴れ】

  • 鑑賞日 2025/04/13
  • 公開年 2025
  • 監督 餃子(ジャオズ)
  • 脚本 餃子(ジャオズ)
  • キャスト 呂艶婷(リュー・イエンティン)、囧森瑟夫(ジヨンセン・スーフー)、陳浩(チェン・ハオ)、李櫟(リー・リー)
  • あらすじ 運命によって魔王の魂を宿した「魔童」として生まれたナタが、人々から忌み嫌われながらも、孤独な戦いの末に自身の運命を切り拓いていく物語です。
  • ジャンル 中国アニメ ファンタジー アクション
  • 鑑賞媒体 映画館
  • お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)

感想

今回見たのは「ナタ 」という作品なのですが、残念ながら一作目を未見状態での二作目です。

中国武侠が持つ独特のクールさをしっかりと残しながら、ディズニーやジャンプの要素を巧みに取り入れていて、格好良さの基準をビシィっと西側の標準に合わせている驚くべき仕上がりでした。

既成概念を打ち破る融和のテーマ

まず今作を観て最も驚いたのは、既存の上下構造をぶっ壊して、異種間融和を推し進めるというそのテーマ性でした。彼の国でこのような内容を今の時代に作らせてもらえること自体を知りませんでしたし、これを大陸中の子供たちが観ているというのは、本当になんと面白い時代になったのかと感じます。

完全なフィクションや他国のおとぎ話を借用するのではなく、自国の伝記や歴史をベースにコンテンツを作れる強さを改めて実感しました。日本も少しずつ自国の歴史コンテンツで世界と勝負できるようになってきているので、これはとても良い流れですね。

整理されたプロットと驚きの暗喩

一作目を鑑賞できる媒体が見つからず残念でしたが、二作目からでもこれだけ楽しめるというのはすごいことだと思います。物語は結構複雑な三つ巴の構図になっているのですが、プロットがものすごく分かりやすく整理されているので、最後までぐいぐいと引き込まれました。

特にそのプロットについて、どうしても中国国内のイメージとして、反政府的なものは作れなかったり、外資本がはじき出されたりといった閉鎖的な印象がありました。しかし、今作では政府の暗喩とも取れる大ボスを、他国と手を携えてぶっ壊そうという話になっていたのには、そのイメージを覆すかなりの驚きでした。

覇道の考え方が基本かと思っていましたが、このような異種間融和の物語を作って良いのですね。それが世界一のアニメ売り上げを記録しているというのも、非常に興味深い流れです。

圧倒的なCGと「大阪的」な笑い

作品の中で描かれる笑いの系統は、だいぶお下品なものが多いのですが、僕はこれが大ツボでして何回も笑ってしまいました。ディズニー作品などでは絶対に見ることができないような「ゲロの連続」にはある意味唯一無二のオリジナリティがありました。天丼や被せ笑いなど、西側諸国のアメリカンジョーク的な笑いよりも、僕は大阪的なこちらの笑いの方が好きなのです。

そして、とにかくCGのクオリティがすごくて、えげつないほどの迫力に圧倒されました。ただの綺麗なCGは世の中に溢れていますが、そこに中国独自の美意識や歴史観、そして壮大さを掛け合わせることで、唯一無二の映像美が生まれていました。

人口の多さや土地の広さ、歴史の長さといった要素が加わると、これほどまで独自の世界観が出来上がるのかと感動しました。これはインド映画にも通じるものがありますね。でっかい筋斗雲に乗って移動するシーンなども格好良かったです。

ハリウッド一辺倒だった時代から、各国それぞれの持つ文化を手に入れた最新鋭の映画が、これからどんどん生まれると思うと楽しみで仕方ありません。

巨大なスケールで描かれる独自の美術

僕の好みに非常に合っていたのが、遠景のカットが多かった点です。特にこうした伝記物は、遠くからの視点で描かれる戦いの方が壮大でスケールが大きく、素晴らしいと感じます。

何万人という兵士が空中で立方体の編成を組む描写がありましたが、これは大軍隊同士が戦ってきた歴史がないと出てこない発想です。その国の文化から創り出される独自の美術に触れるのは本当にゾクゾクします。

正直なところ、見る前は少し舐めていた部分もありましたが、ここまでのクオリティを作り出せるとは驚きました。制作費が一体いくらかかったのか気になります。絵の凄さだけで言えば、日本のCGアニメはもちろん、最高峰であるディズニーですら凌駕していると感じました。

これだけの数のテクスチャをどうやって処理しているのか、その物量のえげつなさをまざまざと見せつけられました。しかも、それがごちゃごちゃと埋没することなく、見せたいものをしっかり見せる導線が確保されていて見事でしたね。

ジャンプ的な熱さとキャラクターの魅力

さらに、そこには少年ジャンプのような日本の漫画文化もしっかり取り入れられています。クライマックスのバトルシーンなどは、ドラゴンボールやジョジョといった往年の熱さを上手に反映していて恐れ入った。岩の割れ方やダメージの描写など、日本人には馴染みのある描き方なので、ものすごく気持ちよく観ることができました。

日本ではあまり流行らなさそうなナタのキャラデザも、見ているうちに感情移入して愛おしくなるし、その見た目から最後にあの大変身を遂げるのはマジで熱いです。

三作目への絶大な期待

そして、しっかり泣ける要素があるのも素晴らしい!特に母親とのクライマックスは、もし一作目を観ていたらもっと感情移入できていたのだろうに、と大後悔です。ナタを苦労して育てた回想シーンなどもあり、是が非でも一作目が観たい!

今回の鑑賞を通じて、中国アニメの進化と、異種間融和というテーマが持つ普遍的な強さを肌で感じることができました。このクオリティと熱量を維持したまま、物語がどこへ向かうのか。今はただ、早く三作目が観たいという気持ちでいっぱいです!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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