【アニメレビュー】「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」/エヴァの呪縛と新たなガンダムの門戸

アニメ

【機動戦士Gundam GQuuuuuuX】

  • 鑑賞日 2025/01/21
  • 公開年 2025
  • 監督 鶴巻和哉
  • 脚本 榎戸洋司、庵野秀明
  • キャスト 黒沢ともよ 土屋神葉 新祐樹
  • あらすじ 地球からもっとも遠い位置にあるスペースコロニー群サイド3が「ジオン公国」を名乗り、地球連邦政府に対する独立戦争(一年戦争)を挑んでから約9か月後の宇宙世紀0079年。ジオン公国軍エースパイロットのシャア・アズナブルは、地球連邦軍のモビルスーツ(MS)開発計画を察知し、みずから部隊を率い潜入したサイド7にて新型MSガンダムと、その母艦となる強襲揚陸艦ペガサスを鹵獲する。ガンダムを手にしたジオン公国のMS開発計画は大幅な見直しが図られると共に飛躍的に発展し、シャアもまたニュータイプの素質を見出されたことで、新たにサイコミュとビットを搭載した赤いガンダムを愛機として、仲間のシャリア・ブルとともにMS戦術「M.A.V.(マヴ)」を確立させる。
  • ジャンル 日本アニメ SF ドラマ
  • 鑑賞媒体 劇場版/映画館 アニメシリーズ版/アマゾンプライムビデオ
  • お気に入り 〇(×、△、〇、◎の四段階)

感想

劇中の「こいつ、歯があるな」というセリフ。あぁ、もう…。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』であれほど感動して、自分の中ではちゃんと綺麗にエヴァを卒業したはずだったのに、またしても「エヴァっぽいもの」を目にして、こんなにも腹の底から歓喜している自分がいる。これはまさに庵野さんの呪縛であり、きっと死ぬまで逃れることはできないのだろうな。

僕はガンダムシリーズに関しては初代くらいしか観たことがなかったため、もし今回の作品がスタジオカラーの制作でなければ、きっと手を出していない題材でした。ところが、始まった瞬間に「あれ!? これって知っている画面じゃん!?」と驚かされ、初っ端からパラレルな世界観が全開になっていて、最高に楽しい場面から物語が始まりました。

「エヴァ」の演出がもたらす興奮とライト勢のハラハラ

なかなかにカラーらしい「エヴァ」の空気感をいたる所に展開してきます。僕のようなガンダムライト勢にとっては非常に楽しい演出なのですが、一方で初代からの生粋のガンダムファンの方々は大丈夫なのだろうかと、観ながら少しハラハラしてしまいました。そんなライト勢でも、あの「ヂュディディ~ン!」という効果音が鳴り響く演出は、理屈抜きに胸が熱くなりましたね。

これほどまでに長い歴史を持つガンダムシリーズに対して、これまでなかなか参入するきっかけを掴めずにいましたが、今作はその素晴らしいとっかかりを僕に与えてくれました。本当にありがたいことです。この作品を機にガンダムの魅力にどっぷりとハマることができれば、ここから他の過去シリーズも楽しめるようになるかもしれないと期待しています。

疾走するポップさと、エヴァっぽさが広げるファンの裾野

きっと作中には、歴代のファンが唸るような様々なシリーズのトリビアが散りばめられているのだろうと思います。しかし、そうした細かい背景が分からない僕のような新規勢であっても、全体の構成が持つ圧倒的な疾走感や、スタジオカラーならではの気持ちの良い演出によって、置いてけぼりにならずに楽しく観ることができました。

また、従来の他のシリーズに比べるとシリアスの度合いが少し緩和されているのも、新規勢にとっては非常に見やすいポイントです。どちらかといえばギャグ漫画に近いようなスピード感とポップなノリが特徴的で、参入ハードルが高いと言われがちなガンダムシリーズの敷居を大きく下げてくれています。

古くからのファンの方から見れば、こういった要素は少しノイズに感じられるかもしれません。しかし、劇中でちょいちょい顔を出すエヴァっぽさこそが、僕の様な新規勢が最も親しみやすさを感じられる要素なのです。これは間違いなく、ファンの幅をかなり広げてくれるのではないかと思います。

1クールの限界と、緻密な取捨選択が生んだ構成

もしかしたら1クールという限られた枠の中での制作だったのかもしれないですが、その疾走感が心地よい反面、物語の行間がかなり大胆に飛ばされているため、観る側の脳内補完がだいぶ忙しくなります。人間描写の奥深さをじっくり描くことよりも、ガンダムとしてのトリビアや、毎話ごとに用意された驚き、次回への引き、そして考察の楽しさに、短い話数を特化させたという印象を受けました。

しかしそれは、与えられたハードルに対して最大限に取捨選択を行い、ロジカルに作り上げられた結果なのだと感じています。だからこそ、いつか映画三部作のような大きなスケールで、もっとじっくりと描かれた物語を観てみたいですね。

キャラクターデザインについても、従来のガンダムが持っていた「硬派で難しそう」という先入観を綺麗に払拭してくれています。逆にポップすぎるデザインゆえに、最初は敬遠してしまう層もいるかもしれないですが、そこはスタジオカラーという巨大なブランド力がしっかりとカバーしています。

女子高生フィルターと「クランバトル」が導く王道の入門編

さらに、主人公が普通の女子高生である点も大きく、従来の難解なガンダム用語が、一旦彼女というフィルターを通して描かれるため、初心者にとっても非常に優しい仕様になっています。これに興味を持った人が、ここから初代ガンダムを手に取るきっかけになるような、本当に素晴らしい入門編として機能しています。

物語のフックとして、戦争という重いテーマの前に、非合法なモビルスーツ決闘競技である「クランバトル」を採用している点も見事です。まるでeスポーツや格闘ゲームのような現代的な感覚でバトルを楽しめるため、若い世代にとっては、設定が複雑な戦争物よりもずっとスムーズに作品の世界に入り込みやすいはずです。

そして、少年と少女の出会い、そこからの共闘という王道の物語構成が、「ガンダム的な政治劇」に馴染みのない層の心にも真っ直ぐに刺さっています。ただ、僕個人の好みを言えば、実はその政治劇の部分が一番大好きなのです。なんだったら、モビルスーツによるバトルシーンはなくてもいいとすら思ってしまうほど。

新たなガンダムの世界へ向けて

思春期の頃にリアルタイムで衝撃を受けたエヴァンゲリオンに比べたら、さすがに今回の作品への依存度や熱中度は比べるべくもありません。しかし、自分にとっては初めて「最新のガンダムシリーズを最後までしっかりと観終えることができた」という、記念すべき作品になったことが何よりも嬉しいです。

この素敵な体験をきっかけにして、今後は他のガンダムシリーズも色々と楽しんでいけたらいいなと思っています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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