【劇場版モノノ怪 第二章 火鼠】
- 鑑賞日 2025/03/17
- 公開年 2025
- 監督 中村健治 鈴木清崇
- 脚本 新八角
- キャスト 神谷浩史、日笠陽子、戸松遥、梶裕貴
- あらすじ 深い闇が渦巻く大奥を舞台に、天子の世継ぎを巡る家柄同士の謀略と、女たちの情念が交錯する。そんな中、突如として人体が発火する怪事件が連続して発生。モノノ怪の仕業とにらんだ薬売りが、怪異を鎮めるため再び大奥に足を踏み入れる。業火のごとく燃え上がる情念から生まれたモノノ怪「火鼠」と、薬売りの新たな戦いを描く物語です。
- ジャンル 日本アニメ ホラー ファンタジー
- 鑑賞媒体 映画館
- お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)
感想
18年前にテレビシリーズを観た当時は、その最先端のセンスに痺れたものでした。しかし、流石に2025年になった今、その感覚が今も通用するのかと少し不安に思っていましたが、それは全くの杞憂!
色彩感覚や感受性、そして爽快感は健在で、外連味のある演出とズンチャンと響くBGMの相乗効果が最高に心地よかったです。ジャパニメーションの裾野の広さに、改めて驚かされました。
深まる大奥のエグみと物語の行方
一作目に比べると、今回はかなり分かりやすいお話だったと感じました。大奥という万魔殿をテーマにしていながら、比較的マイルドだった前作に対し、今作は一段と深くエグみが増した印象です。
三柱のうち二柱の封印が解かれ、いよいよ三作目は大スペクタクルになりそうな予感がしています。また、二作に渡って天子様がほとんど姿を現さないのも、相当に不気味で良い演出でしたね。
音楽面では岩崎琢さんの音楽が本当に素晴らしく、ゾクゾクするたまらない仕上がりでしたし、エンディングテーマを担当したアイナ・ジ・エンドさんの楽曲も非常に良かったです。疾走感のあるノリの良い曲調でありながら、「帰れるなら」と何度も願う歌詞の切なさが沁みました。
火と水、そして情念の浄化
前作のテーマが「水」であったのに対し、今作は「火」がモチーフとなっています。相反する相容れないエレメントの中で、女性たちは溺れ、そして焼かれます。一方で、それを象徴するモノノ怪である唐傘や火鼠は、その情念を流し、汚れを浄化する役割も持っています。そのグルグルと回る負の連鎖を断ち切るフキのシーンには、本当に泣かされた。
前作で、濡れ続けなければ行けない呪いを背負った女性たちの「水」に対して、それらを蒸発させ焼き殺す今作の「火」の情念。なんとも見事な相対し相殺するテーマです。
薬売りの立ち位置も興味深かったです。前回は狂言回しのような役割が多かった彼が、今作では自ら舞台に降りてきたような感覚があり、非常に熱い展開でした。登場人物との関係性も密になってきており、三作目では完全に物語の当事者になるのではないかと楽しみです。
彼が火鼠を切る際に「許せ」と言った姿から、火鼠自身も制御できない情念から救ってほしかったのではと、そこにもまた切なさを覚えました。
納得のカタルシスと独自の構成
モノノ怪は悪意を持って襲ってきますが、単なる善悪の二元論で片付けられる存在ではありません。彼らの発生源は人間の情念や切なさであり、観客もそれを理解した上で退治を見届けなければ意味がない。
作中人物と観客に同じ感情を持たせるために、「形・真・理」という三つの条件を揃えなければ剣を抜けないという設定には、毎回唸らされます。こちら側とあちら側が同時に納得するこのカタルシスは、本当に見事な構成です。あれほど恐怖に陥れた火炎が、ラストであのような形で美しく花開く演出も、心憎いほど問答無用に綺麗でした。
完結編への期待
最も続きが待ち遠しい一作です。前作の時点でも記載しましたが、最後は大奥という舞台を飛び越えて、国造りの神話までスケールが広がる大きな物語になるとアツいなぁと期待しております。
害をなすはずのモノノ怪を倒すごとに解けていくスサノオの封印は一体何を守っているのか、次回予告の「邪蛇」はヤマタノオロチを指しているのか。であればお水様がオロチを鎮めたのは八塩折の酒で、天子家は代々クシナダヒメの如く女性たちを贄にしていたのかなど、妄想が尽きません。
とにかく三部作のラストは、舞台もアクションもド派手な大スペクタクルを期待しています!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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