【アニメレビュー】「モアナと伝説の海2」

アニメ

【モアナと伝説の海2】

  • 鑑賞日 2024/12/11
  • 公開年 2024
  • 監督 デイブ・デリック・ジュニア、ジェイソン・ハンド、ダナ・レドゥ・ミラー
  • 脚本 ジャレッド・ブッシュ、デイブ・デリック・ジュニア
  • キャスト アウリィ・クラヴァーリョ、ドウェイン・ジョンソン、アラン・テュディック
  • あらすじ 前作から数年後、モアナはマウイや新たな仲間たちと共に、遠く離れた海へと航海に出る。かつての祖先たちが辿った航海ルートを辿る中で、彼らはこれまで知られていなかった新たな冒険と危険に直面し、再び海の精霊たちと向き合うことになる。
  • ジャンル アメリカアニメ,ディズニー,アドベンチャー,ミュージカル,ワクワク
  • 鑑賞媒体 映画館
  • お気に入り ◎(×、△、〇、◎の四段階)

感想

緩やかな絶滅か、争いが待っているとしても他者と繋がる道か。今作は構図や見栄え、そして音楽がどこを切っても格好良く仕上がっており、壮大な人類の旅路としての大大大浪漫活劇でした!

つくづくミュージカルというジャンルは、冒険と相性が抜群ですね。旅路の長さや仲間と絆を深める時間を、一曲歌い上げるだけで一気に表現できます。もちろん楽曲が素晴らしいことが大前提になりますが、マウイのリズムと現代ポップスを融合させた音楽の数々に、思わず身体が弾みます。

人類と神々が織りなす壮大な歴史ロマン

世間一般の評判を見ると前作を好きな人が多いみたいですが、僕はこの2作目のプロットが大ツボでした。人が神から世界を取り戻していく壮大な展開に、トキメキが止まりません。『サピエンス全史』や、人類が長い旅路を経てユーラシア大陸から南米大陸まで辿り着いた歴史のように、人類の壮大な物語が本当に大好きなのです。

AIがさらに進化して、人類の祖先から今日まで続く何億年の物語を描いた一大叙事詩を映像で観られる日が来るのではないかと、今から楽しみで仕方がありません。

他の島にも人間が存在するという発見と、そこから大航海が始まる壮大な浪漫が、たまらなくワクワクする導入です。この設定だけでご飯三杯行けます!西ポリネシアに定住していた我々人類の祖先が外界へ旅立つまでに、1000年間の空白期間(ロング・ポーズ)が存在していたと言います。考古学的には、「自然環境(風や海流)の条件が整うこと」「長距離航海に耐えうる技術・知恵が完成すること」「人口増加により新天地をめざす社会的必要性が生まれること」という条件が揃うまでに必要だった期間が、「1000年の空白」と解釈されていますが、それらの事象を今作では神々をメタファーとして描いています。いえ、メタファーではなく、太古の昔には本当にモアナの世界の様な神々がいたのかもしれません。

もしそうであれば、なぜ現代では神々が滅び、弱い人間だけが地球上に君臨しているのか。それらの様々な解釈や叙事詩の読み解き方を、これだけ高レベルの分かりやすいエンタメで作ってくれるなんて、浪漫が溢れまくりでこれほど続編が楽しみなことはありません。

断絶されていた人類がついに再会を果たす今回の展開を経て、このあと3ではどんな物語が待っているのでしょう。人類を隔絶させていたナロも決して悪意だけで行動しているようには見えず、とても意味深です。彼はいったいどんな理由で世界を分断したのか。バベルの塔を見ているかのようですが、人間同士を会わせてしまうと結局争い合って領土戦争を始めてしまうという側面も、次作で描かれるのかもしれません。ディズニー作品として直接描くことは難しいかもしれませんが、暗喩としてでもその罪の部分を描いてくれたらすごく熱いですね。

劇中で何回も食料としてイジられていた豚ちゃんも、争い合う人類が食糧不足に陥った際、本当に食べられてしまう伏線なのではないかと、あり得ない妄想まで膨らんでしまいます(笑)。あるいは彼の経典にあるがごとく、主を助けるために自ら火の中に飛び込む獣たちの様な末路を迎えるのか。島という畜産資源が限られた環境で、ペットをあえて「豚と鶏」にしているのはなかなかに意味深です。

魅力あふれるキャラクターと心躍る音楽

マウイが最後に歌う場面では声にエフェクトをかけているのか、体の芯が震えるほどの低音ボイスに滅茶苦茶痺れました。各アクションシーンも音ハメが気持ち良くウキウキしながら観ることができましたし、チームものとしての高揚感も素晴らしいです。

新登場した妹シメアの存在も可愛らしかったですね。彼女の存在が守るべき故郷として具現化し、無事に帰るための強い理由になっています。その気になればモアナは外の世界へ飛び出しっぱなしでも問題ありませんが、彼女がいるおかげで二人はまた会えるのだろうかというサスペンスが生まれました。

他のメンバーも個性的で素晴らしかったですね。賑やかしパワー担当、理系女子、ファーマーじいさんと、明らかに新世界で生活基盤を構築するための構成になっています。僕は箱庭系ゲームが大好きなので、彼らが新天地でどのような開拓生活をするのか楽しみで仕方がありません。モニが異常にマウイに憧れている姿を見ると、いずれマウイの力を引き継ぐのではないかと想像が膨らみます。

今作品ではマタンギやナロの深掘り不足な面もありましたが、その分3作目への期待度が跳ね上がるというものです。かなり橋渡し役に徹した作りになっており、単作としての仕上がりには物足りなさを感じる方も出てくるかと思いますが、その分音楽とアクションを凝りに凝っているので、僕は大満足でした。

特にマタンギの歌う「まっよえ!いんまぁー!」の楽曲は最高にキャッチーで格好良いですし、マウイの「行けよ!モアナ!レベルアップだ!」というリズムも、彼女が絶望から奮い立つ曲として完璧でした。これほどの楽しいアクションと震える音楽で楽しまないお子さんはいないでしょー!ディズニー真骨頂です。

成長したモアナと未来へ繋がるアドベンチャー

マウイがちょくちょく語る未来の話も超魅力的で、スマートフォンのことを知ってたり、2000年後に理解できるようになるさ、など、メタ的なギャグの意味合いを超えて、大きな謎としてすごくワクワクさせられます。時代を繰り返している可能性やマルチバースの存在も考えられますよね。

同じ神でありながら人類に寄り添うマウイと、人類を断絶させるナロ、彼らの思惑はいったいどこにあるのか、かつては味方だった海がなぜ現代ではこれほど無慈悲なのか、そして今回モアナが得た力が意味する未来は何なのか。空白の1000年の物語、その神話アドベンチャーの行く末は気になる事だらけです。

モアナのビジュアルも格好良いですね。前作から成長した頭身になり、二の腕もたくましく、それでいて女性らしいしなやかさも失っていないバランス。着々とリーダーらしい強く優しい女性像に育っている姿は、見ていてとても心地よいです。

でも、出自だけでこんなにも大きな使命を背負わされる事に関して、モアナ自身は外界に対する好奇心と族長としての使命が一致しているため問題ありませんが、それを重圧に感じるキャラクターだったら可哀そうですよね。3作目では、モアナが人類を繋げた「功績と罰」に対して、初めて葛藤する深い描写があるかもしれません。

神話アドベンチャーの未来を楽しみに待つ

壮大な大航海ロマンと仲間たちの絆、そして数々の素晴らしい音楽に心を奪われる傑作でした。

残された数々の謎やキャラクターたちの成長、神話に対する解釈など、次回作でどのような描き方がなされるのか今から大変に期待が膨らみます。モアナたちが切り拓く未来と神話アドベンチャーの行く末を、最後まで見守っていきたいと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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